忘年会とメタボリックシンドローム

2010年12月19日

忘年会の季節になった。忘年会は、食事を楽しみながら今年一年を振り返り、年内の苦労を忘れるために年末に行われる宴会で、日本独自のものだ。働き盛りの頃は職場での忘年会が多かったが、高齢となった今は、友人との忘年会が中心となっている。

 

2010127日、大阪北新地のアメリカンフレンチ料理店「Tribekiya(トライベッキヤ)」で、市役所OB、弁護士、公認会計士、銀行OB、証券OB、化学メーカー、介護施設長など友人12人で忘年会をした。

忘年会の前、少し時間があったので久しぶりに北新地を散策すると、JR東西線が開通してJR北新地駅ができたためか、社用族は少なくなり若者向きの店が多くなっていた。

ビールで乾杯し、赤ワインを飲んだ。若い頃は仕事の話が多かったが、加齢とともに脊椎管狭窄症などの病気や、山歩き、犬との散歩など健康に関する話題が多くなった。

帰り際、シェフに店の名前の由来を聞くと「全日航ホテルの北の三角地triにあり、地図で見ると北新地kiの下belowにあるので名付けた」と答えられた。シェフは30年間米国ニューヨークにいて6年前店を出し、食材は友人の畑でとれたものを多く使っているという。味もボリュームもしっかりとしていた。

 

1216日、大阪市北区のホテルで元大手メーカー会長、総務省OB、検察OB、建築設計社長、新聞社OBなど11人が丸いテーブルを囲み、赤ワインを飲みながら忘年会をした。やはり健康に関心が高く、メタボ、糖尿病などが話題になった。

 

1217日、高槻の九州居酒屋「無法松」で商社OB、保険会社OB、タイヤメーカーOB14人で忘年会をした。ビールで乾杯し、焼酎などを飲みながら、きびなごのお造り、さつま揚げなど食べた。ここでも前立腺がんなど健康の話題がでた。話がはずんで、久しぶりに午前帰宅となった。

先月、食事会の時、酒造メーカー社長が「日本酒、味噌、醤油の消費量が減少している。日本酒、味噌、醤油のよさを認識し、日本の食文化を守らなければならない」と言われた。昔の忘年会は、ビールで乾杯のあと、日本酒を飲みながら食事をしていた。

焼酎など蒸留酒や、ポリフェノールを含む赤ワインは高齢者の健康志向をつかんでいる。純米大吟醸など旨い日本酒は、洋酒に負けない日本の食文化だ。日本酒も適度に飲めば健康によいことを、もっと知ってもらえばよい。

忘年会で食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、メタボリックシンドロームになり、糖尿病は悪化しやすい。みんなで食べる時は、楽しく美味しく食べ、次の日の食事を減らすなど工夫するとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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