大阪アジア中心都市構想と大阪大学第二内科同窓会
2011年1月8日、大阪市北区にあるリーガロイヤルホテル光琳の間で「第59回大阪大学第二内科同窓会」が開催され、200名が出席した。
講演は難波光義兵庫医大糖尿病科教授による「考える腸、働く膵島」だった。難波君は阪大2内の2年後輩で、20年以上前から膵臓のランゲルハンス島から分泌されるグルカゴンの研究をやっていたが、最近糖尿病薬のインクレチン製剤が発売され、ようやく脚光を浴びてきた。
懇親会で名誉会長は「昨年で日本の学会長は卒業し、今はアジアの学会長を2つしている。ある国に行った時、最先端の病院を案内されたが、入院している人は医療ツーリズムの欧米人ばかりだった。その国の一般国民は十分な医療を受けていない。日本人は平均すると世界一高い水準の医療を受けている」と挨拶された。
後輩医師は「日本のことは東京にまかせて、大阪をアジアの中心都市として発展させるとよい。明治維新は藩をなくし、東京大学を作り、東大を中心に日本ができあがってきた。平成維新は国をなくし、大阪に新しく国立大学を作り、大阪をアジアの中心都市にするとよい。新しい国立大学にはアジア(インド・アラブを含む)から優秀な頭脳を持った学生を入学させ、大学周辺に企業を呼び込み、産官学協同で大阪の産業を活性化させ、税収を上げ、大阪を活気にあふれた街にするとよい」と大阪アジア中心都市構想を唱える。
いいアイデアだ。大阪府北部の"北大阪バイオクラスター"には、300社を超える研究機関、製薬企業が集積する。近くには大阪大学付属病院、国立循環器病センターもある。高齢化が進む日本では、医療産業は確実に伸びて行く産業だ。医療機器や医薬品、リハビリ、治療食などの開発を病院と一体となって行うとよい。
世界の製薬会社社長への"どんな薬を創りたいか"というアンケート調査では、1位が糖尿病薬、3位が抗肥満薬だった。在院日数やDPC(包括医療)を考えなくてもすむ国立肥満症センターや糖尿病センターも新設すれば、肥満や糖尿病の臨床研究を行うことができる。企業が大阪に進出してくれるかどうかなど問題点はあるが、国が税制などで優遇策を行えば実現可能だ。
大阪府と大阪市の合併は、何年も前から大阪の発展のため、関西財界の一部の人達が大阪市と話を進めていた。当時合併していたら、大阪市と泉南地区にメリットがあった。いつの間にか大阪府がイニシアティヴを取るようになり、今では逆に大阪市が反対に回っている。
うさぎ年の今年、産・官(大阪府と大阪市)・学が協力して、大阪を飛躍の年にしてほしいものだ。