日本経済の見通しとメタボリックシンドローム
2011年1月20日は、日本経済にとっても世界経済にとっても記念される日となった。
中国国家統計局は20日、2010年の中国のGDPは10.3%増加して5兆8812億ドルとなり、日本を抜いて世界第2位の経済大国となったと発表した。この日、中国の胡錦涛国家主席は米国を訪問しオバマ大統領と会談し、飛行機など4兆円の買い物をしている。世界経済は42年間つづいた日米主軸から米中主軸に変わった。
年始の社説は、その新聞社の基本的な考え方を示す。読売新聞の1月1日の社説には「大胆な開国で農業改革を急ごう:消費税率引き上げは不可避」、朝日新聞の1月4日の社説は「もう財政がもたない:民主は公約を白紙に」、毎日新聞の1月1日の社説は「通商基盤の確立:消費税増税を含めた財政基盤の確立」と書いてある。
経済のプロ達は"消費税を上げ、TPPに参加しないと日本は沈没する"という危機感を持っている。昨年までは読売が方針を出すと、朝日と毎日は反対のことを書いていた。今年は読売、朝日、毎日の3社とも消費税増税と国を開国するTPP賛成だった。そこまで、日本の経済は追い込まれているのだろう。
テレビのワイドショーでは経済にアマチュアの人達が「増税する前にムダをなくせ」「今、増税するとただでさえ景気が悪いのにさらに悪くなる」とコメントしている。事業仕分けでは数1000億円しか出なかった。老人がお金を使わないのは、将来に不安があるからだ。増税すれば社会保障への道筋をつけ、景気を好転させる。増税しないと日本が誇る皆保険制度は財源不足で崩壊してしまう可能性がある。
大新聞社の論説委員をしている友人は「国会議員の分別のある人は増税しないと日本はやっていけないとわかっているが、本当のことが口に出せない。選挙に負けるというトラウマを持っている。政治家はせつない宿命を背負っている。政治生命をかけて消費税増税、PTT参加を行う覚悟のある政治家が出てこないと日本は沈没する」と言う。
テレビの健康番組では司会者が「アディポネクチンのいい薬ができれば、100%心筋梗塞をなくすことができますね」「日本肥満学会では体脂肪率が25%以上あれば肥満症と診断している」と言っている。アディポネクチンの薬が開発されても、心筋梗塞を予防できるのは数10%で、100%防ぐことなどあり得ない。体脂肪率は診断基準には入っておらず、日本肥満学会ではBMI25以上を肥満と判定している。
マスコミの主役は新聞からテレビとなり、情報発信する人達もプロから視聴者受けするアマの人達に移行して来た。日本経済も肥満・メタボもアマの人達にミスリードされてはならない。