日本医事新報の華と高齢医師の生き方
2011年2月5日、毎週土曜日発行されている日本医事新報2月5日号が職場に届いた。
1921年2月5日に発行されて以来90年となり、記念企画として1911年生まれで今年100歳になられる日野原重明医師の「日本医事新報が果たすべき役割」が載っていた。
「質疑応答は医事新報の華」のサブタイトルで「医事新報が多くの読者を惹きつけたのは質疑応答。これは医事新報の華で、僕達も真っ先に雑誌の後ろにある質疑応答を読んだ。各方面の質問に対して適当な人が応答する質疑応答が、この雑誌の最大の特徴であった。
質疑応答に指名された医師は非常に名誉に思っていた。指名された医師は日本におけるその分野のトップと思われていたため、頼まれた先生は断ることなく喜んで質問に回答していた」と書かれている。
医事新報の質疑応答には、毎年のように回答していた。中には私を名指しで質問してこられる読者もあった。調べてみると、1992年8月22日「肥満および肥満症の判定基準(東京M 生)」、1993年4月17日「内臓脂肪と皮下脂肪の相違(兵庫K生)」、1994年6月18日「標準体重の算出式と肥満度の判定(大阪F生)、・・2005年12月3日「内臓脂肪と生活習慣病との関係(秋田S生)」まで11回、回答していた。
5年前までは忙しくて日本医事新報を読む余裕もなかったが、今は執筆者から読者になっている。2006年から時間的余裕ができ、趣味で「メタボリック教室」を書き始めた。
2月5日夜、研修医時代の仲間3人と、大阪リーガロイヤルホテル最上階にある日本料理バー「星宙(ほしぞら)」で会席料理を食べながら話をした。地上110mから見える高層ビル街は宝石のようだ。
医師会長をしている友人は「自宅近くにギャラリーを作った。これからは文化人になる。陶芸などの展示販売会を、年に12回行う。地方の陶芸家が、無料で宿泊できるようにギャラリーの2階に風呂とトイレを作った。毎月、日本全国の芸術家の所に行き、話をするのが楽しみだ。大分県の湯布院では温泉に浸かり、陶芸工房に行って話もできた。
沖縄ではシーサーの陶芸家と会ってきた。琉球大学付属病院の看護師さんたちが、メタボリック教室を読んでいて面白いと話していた」と言う。遠い沖縄の地で、看護師さんたちが愛読してくれていると思うと嬉しい。
医師も60歳を過ぎると若い医師と同じようには働くことができなくなり、お金に対する欲も無くなってくる。友人は日本の文化・芸術を育てるため、私財を投じて地方の芸術家の支援をしている。高齢医師は医師をつづけるのもよいが、自分の趣味を生かし楽しみながら社会貢献するのもよい生き方だと思った。