桜前線と命のリレー

2011年4月10日

   201146日、新学期を迎える小学生へ、内閣総理大臣と文部科学大臣から東日本大震災に係るメッセージが出されている。

「もっとも被害の大きかった東北にも、もうすぐ春が訪れます。みなさんは、桜前線という言葉を、先生からもう習いましたか?桜の花が開く日を線で結んだものです。日本の国土は縦に細長いために、沖縄では例年1月上旬に開花宣言が行なわれ、その桜前線は、約半年をかけて、5月下旬に北海道の北端に到達します。自然がおりなす、素晴らしい命のリレーです。

自然は、今回の地震や津波のように、時に、私たちに厳しい試練を与えます。しかし、桜前線のように、私たちをやさしく包んでくれるのも、また自然の力です。みなさんも、どうか、思いやりのリレーのバトンを、被害を受けた地域の仲間に届けて下さい」と書いてあった。

 

410日、家族で京都へ桜を観に行った。午前1030分、伊丹の自宅を出発。20.5℃と暖かい。

京都は花見シーズンで、大勢の観光客が歩いている。円山公園、知恩院、南禅寺あたりは大渋滞となり、大きな通りに面した駐車場や清水寺の駐車場は満車になっていた。

 

午後020分、秀吉を祀ってある豊国(とよくに)神社に行った。鳥居の前の桜は満開となっていた。正面にある金色を使った豪華絢爛な唐門(からもん)は西本願寺、大徳寺の唐門とともに、国宝三唐門の一つとなっている。

唐門の前の満開の桜の木の下では、神前結婚式をおえた花嫁さんが記念撮影をしていた。心地よい風が吹いてくる。戦国の乱世で、深い絆で結ばれた秀吉と糟糠の妻"おね"にあやかろうと、千成瓢箪(びょうたん)の縁結びの絵馬が、たくさんぶらさがっていた。片岡千恵蔵、月形龍之介、柳葉敏郎、衣笠祥雄らが書いた千成瓢箪も飾られていた。

豊国神社の隣にある方広寺に行った。方広寺は1586年秀吉により創建され、大坂冬の陣、大阪夏の陣の原因となった国家安康の鐘があった。この大梵鐘は重さ82.7トン、厚さ27cm、直径2.8m、高さ4.2mで、1614年に鋳造されている。

釣り鐘には1万1001字が書かれており、「国家安康」と「君臣豊楽」の文字の所が白い線で囲まれていた。徳川家康の家と康を分断したものとして、豊臣家滅亡を招いている。大梵鐘の内部には、秀吉の側室"淀君"の姿だという言い伝えがある模様があった。

 

桜前線の真っただ中の京都の街は、観光客で賑わっていた。去年咲いて散った桜の花は、今年も力強く美しく咲いていた。京都は1000年以上もの間、幾多の戦禍や天災を乗り越え、桜前線のように命のリレーで生き残っている。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について