幸せな社会は原発維持か脱原発か
「糖尿病患者はインスリンの種類を書いたカードを持っておいた方がよい」「避難所ではインスリン注射をしていることを知られたくないため、暗闇の中で注射している人がいる」「誰が処方したか後でわかるよう、医師は印鑑を持って行った方がよい」などの発言があった。
管理栄養士からは「避難所ではタンパク質や野菜が不足しており、低蛋白血症になっている人もいる。菓子パンや運動不足で肥満になったり、糖尿病が悪化している人がいる。下水がない避難所では、カップ麺の汁を飲み残してはいけないと考える人が多く、塩分過剰摂取になっている」と話された。お菓子・カップ麺が多く肥満が増えるなど、阪神大震災の時(第347段:大震災とメタボ)と同じだ。
午後2時40分から、倉本聰氏による特別講演「あたりまえの暮らしを求めて」があり、2000名が出席した。倉本聰氏はテレビドラマ"北の国から"の脚本家として知られ、北海道の富良野で生活されていた。富良野では電気のない暮らしをされていた。真っ暗闇は、はじめは恐いが慣れてくるそうだ。
倉本氏は「福島原発事故は日本にとって大きな衝撃だ。既成概念の大転換が必要な時かもしれない。国、東電にも責任はあるが、私たち自身が総懺悔する課題を突き付けられている。これまでのような物質的豊かさを求めるなら、私たちは原発のリスクを負う覚悟がいる。事故を起こさないため原発を止めるなら、私たちは質素な生活をする覚悟がいる。今ではパソコン、携帯のない世界は考えられない。際限なく快適で便利な新しいものを求めている。足るを知らないと欲望が突っ走る。貧しくても幸せな生活はできる」と話された。
倉本氏はさらに「地方都市で講演をした時、客席の前半分が一般客、後ろ半分は高校生だった。一般客の70%はリスクのない昔の生活に戻る覚悟に手を上げた。高校生の90%はリスクがあっても現代文明を享受する方に手を上げた」と述べられた。
テレビやエアコンのない時代を過ごし、将来原発がなくなっても生活できると思っていた私は(第35段:読書とメタボ)、若い人の大部分がリスクはあっても現代文明を享受したいと思っていることに驚いた。
物質的に豊かな社会か、こころ豊かな社会か?はたまた両立しえるのか。原発維持か脱原発か?どちらを選択するかは、世代間で大きな差がある。今、日本国民は難しい選択を迫られている。