関節リウマチの治療とメタボリックシンドローム
午後1時から、佐野統(はじめ)兵庫医大リウマチ膠原病科教授による「関節リウマチ治療の進歩ー寛解から治癒へ」の講演があった。兵庫医大のリウマチ外来は、日本一新規外来数が多いといわれている。関節リウマチは転移のない癌とも呼ばれ、10年以上寿命が短くなる難治性疾患で、それが治癒するとは明るい話題だ。
リウマチは30~50歳代の女性で多く発症し、全国で70万人いる。関節の腫れや痛みがあり、急に寒くなったり、冷房が効き過ぎたりすると悪化する。関節炎から骨破壊が進行し、ペットボトルの蓋を開けられない、ドアのノブを回せない、字が書けない、階段を降りにくくなるなど、日常生活に支障をきたす。
佐野教授は「病因は感染、遺伝、内分泌、環境因子などがある。歯肉炎の人は2倍、喫煙者は1.5倍発症する。紀元前4500年から存在し、印象派のルノアールもリウマチを患っていた。手が変形し、筆を口に加えて代表作"ピアノに寄る娘たち"などを描いた。リウマチにならなかったら、ルノアールはもっと多くの作品を残していただろう」と話された。
関節リウマチの治療は非ステロイド系抗炎症薬、副腎皮質ステロイド薬の対症療法と、抗リウマチ薬、生物学的製剤の根本療法がある。リウマチの治療でステロイドを服用している人は、内臓脂肪が増加して糖尿病やメタボリックシンドロームになりやすい。
抗リウマチ薬のメトトレキサートは肺線維症などの副作用がある。生物学的製剤は最近開発され、いずれも注射薬で5種類発売されている。感染症にかかりやすいため、予め結核予防薬を服用する必要がある。
また、佐野教授は「リウマチはIL‐1、IL‐6、TNF‐αなどの炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインのバランスが崩れて起こる。サイトカインに作用する生物学的製剤の発達で、従来の痛みを抑える治療から最近は寛解へと、数年前から革命的に変化した。リウマチは薬を使わなくてもすむ治癒の状態までいく可能性も出てきた」と話された。
午後6時、伊丹に帰ると薄い青紫色をした紫陽花(あじさい)の花が咲いていた。家には父の日のプレゼントとして、娘からはオーデコロンとシャンプーが、息子からは旭川の純米大吟醸"男山"が届いていた。
社会から忘れられ孤独死する人がいる今の世の中、父の日を祝ってくれる気持ちに感謝した。そして、感謝の気持ちを忘れず、残りの人生を歩んでいこうと思うと同時に、子供の成長を嬉しく思った。