脂肪肝・NASH・肝癌と盛岡街歩き
「岩手県は肥満・糖尿病が多い。車で移動することが多く、冬は寒くて戸外で運動できないなど運動不足も要因だろう。新しく出る予定の肥満症ガイドライン2011では、大腸癌、胆道癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌の5つを肥満に関連する癌として取り扱うこととなった」と話した。
会場におられた岩手医大若林剛第1外科教授が「肥満に関連する癌として、肝癌を入れなくていいのか?岩手には肥満が多い。肝癌の75%はC型肝炎、15%はB型肝炎によるが、岩手ではC型肝炎からの肝癌は半分しかなく、3分の1はノンAノンBで、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)などからの肝癌になっている。今後、肥満・脂肪肝からの肝癌がますます増えるのではないか?」と質問された。
それに対し「脂肪肝から肝癌へのエビデンスが増えれば、肥満症ガイドラインにも入るだろう」と答えた。近年、肥満に関連した肝細胞癌が増加している。脂肪肝に酸化ストレスなどが加わると、炎症と繊維化が生じNASHとなる。脂肪肝のうち10~15%はNASHを発症しており、一部は肝硬変および肝細胞癌へと進展する。
ホテルメトロポリタン盛岡ニューウィング1071号室に宿泊した。ホテルの朝食バイキングでは、ごはんは岩手県産ひとめぼれ、オムレツや温泉卵は小岩井農場産の卵が使われていた。
7月3日午前中、盛岡都心巡回バス"でんでんむし号"右回りで、市内観光をした。県庁市役所前で下車すると、岩手公園の緑の匂いがした。風が涼しい。県庁の前には「世界遺産平泉中尊寺」の横断幕があり、自衛隊の災害支援の車が10台と、自衛隊員の姿があった。
盛岡地方裁判所の前には、巨大な石の割れ目から育った直径1.35m、樹齢360年の石割桜があった。ここには以前来たことがある。18年前の1993年10月21日、第14回日本肥満学会が開催された時、石川勝憲先生、広部一彦先生と来た。3人で原敬の墓、米内光政の墓、啄木記念館、小岩井農場、岩手銀行なども巡った。
裁判所の交差点を曲がると青と紫色をした紫陽花の花が咲いていた。少し歩くと岩手医大があり、宮沢賢治の石碑が立っていた。宮沢賢治は若い頃、鼻の手術のため岩手病院(現岩手医大)に入院した時、看護師さんに一目惚れしている。賢治は生涯独身だった。
岩鋳鉄器館で、工場見学をした。漆の臭いがする。一つ一つ手作業で65工程もあり、南部鉄びんが高価なのもうなずける。観光客が少ないのが気になった。3月11日以降、近くの温泉客も激減したという。改めて盛岡の魅力に触れ、風評被害に負けないでほしいと思った。