小名浜の食・希望と福島いわき市街めぐり
7月16日午前8時40分、伊丹空港からANA3173便11A席で福島空港に向かった。機体には"がんばろう東北"と書かれていた。中央アルプス、南アルプスの青い山々、関東平野の上空を通り、緑の丘と緑の田んぼに囲まれた福島空港に着陸した。
午前10時、国道49号線でいわき市に向かった。所どころ、土砂崩れで片側通行になっている。午後1時、いわき市小名浜漁港に着いた。1階は津波で破壊され、ショベルカーが工事をしていた。2階にある市場食堂で"貝焼きウニ丼"を食べた。
小名浜港から海岸線を北上した。塩屋崎灯台など3カ所で家屋崩壊の危険があり通行止めになっており、迂回しながら北上した。海岸沿いは1階部分が柱だけとなっている家も多く、道路は波打って蜃気楼のように見える所もある。新舞子の海岸の緑の木は下の方が褐色に変色しており、道路沿いには病院や介護施設があった。
相馬市、南相馬市など福島県沿岸部の医療施設では地震・津波に原発事故が加わり、離職者が半数を超えたり、職員の給料が50%カットになったりと経営が困難になっている所もある。しかし、これら医療法人は東京電力の損害賠償請求に関する仮払い補償金の対象となる中小企業に含まれていなかった。
いくつかの医療法人が倒産するのではないかと危惧されていたが、7月12日の参議院厚生労働委員会で質問され、経産省は「東京電力に早急に指示を出し、すぐにでも仮払い補償金が出るようにする」と回答している。一安心している中小病院も多いだろう。
道は国道6号線にぶつかり、双葉・南相馬方面に向かった。浪江の標識もある。福島第1原発から30km地点の四倉港には瓦礫の山があった。6号線の多かった交通量は四倉港付近でばったり少なくなり、双葉郡楢葉への道は全て封鎖されていた。
午後4時、小名浜にある環境水族館"アクアマリンふくしま"に行った。前には全長56mの海上保安庁巡視船"あぶくま"が停泊し、その向こうにマリンタワーが見える。前日の7月15日に再開したばかりで、入り口には各社テレビ局、博報堂、さかなクンなどからの祝再オープンの花が飾られていた。全国の水族館からの激励のメッセージもある。
小さな子供連れで大盛況だ。妊娠中に東日本大震災に被災し、鴨川シーワールドに一時避難していたアザラシ"クララ"が4月7日無事出産し、生まれたあざらしは「きぼう」と名付けられていた。館内では、いたるところで子供たちの声がキャーキャーと聞こえてくる。飛び跳ねている子供もいる。福島に希望を感じた。