円高進行と世界一周旅行
「歴史的な円高が、東日本大震災で落ち込んでいた海外旅行者数の回復に追い風となっている。現地で割安に買い物ができるという期待感が高まっているためだ。成田空港や関西国際空港では、13日、今夏の出国ピークを迎え、両空港からこの1日だけでも6万人以上が海外に飛び立つ」と書いてある。
1ドル76円と円高ドル安となっており、大学生には海外旅行をして見聞を広めるいいチャンスだ。これからの日本は産業が空洞化し、日本人は海外で働くことも多くなるだろう。
大学5年生の夏休み、同級生の田中健君、福並正剛君と西回りで「地球一周の旅」に出かけた。当時は1ドル301円だった。
1972年7月26日、羽田空港を出発。香港、カルカッタ(コルカタ)、バーレーン、ローマ、ジュネーブ、ツーン、インターラーケン、ハイデルブルグ、フランクフルト、パリ、アムステルダム、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、アンカレッジと1カ月間世界一周旅行をした。
最初に行った香港の観光地では、バスを降りると40~50人の子供たちが寄って来た。終戦直後の日本も、食糧不足で同じような光景だったのだろう。40年後の今は、高層ビルが林立する大都会となっている。イタリアではローマ帝国の衰退を感じた。ニューヨークの高層ビル街を見て、ここは世界の中心だと思った。
日本に着くと、友人のお母さんたちが無事かどうか心配して羽田空港まで出迎えに来られていた。帰国してからの1週間は、祭りのあとの淋しさで虚脱状態だった。
世界一周をした時のアルバムを眺める。若い頃の私はウエスト69センチだった。アルバムに写っている外国人たちに明らかな肥満はいない。勤務している健診センター受診者1万8000人のBMI35以上の高度肥満者は、男性では1973年0.024%から2009年0.507%へ21倍に、女性は1973年0.169%から2009年0.241%へ1.42倍になっている。この40年で世界の食糧事情や日本の生活習慣が、急激に変化したためだろう。
地球一周の旅をした時、40年後、世界に肥満が蔓延しようとは思いもしなかった。40年後、世界の肥満・メタボリックシンドロームはどうなっているのだろうか。