ストレス・肥満と心を整える禅
肥満研究の最後に投稿規定があり、文献の学会雑誌記載例として、例1)徳永勝人、中村正、松澤佑次ほか:内臓脂肪症候群、日内会誌1992,81:1831-1835.例2)Stunkard AJ:N Engl J Medが載っている。スタンカード先生は肥満の心理学、行動療法の創始者だ。
1990年10月24日、スタンカード先生と話をした。中国禅宗の第六祖慧能(638~713)の研究をされていた。
スタンカード先生(写真右から2人目)は「1300年前、中国北部の人は南部の人を一段低く見ていた。慧能(えのう)は南部の人も、北部の人も差はないと説いた」と言われる。1300年を経た現在、南北問題は中国国内から地球に舞台が拡がり、先進国と発展途上国間の問題になっている。
スタンカード先生は、さらに「日本人と米国人、太った人と痩せた人、書く人と読む人の間には差はない」と言われた。太った人も痩せた人も、努力次第で普通の体型になることができるということか。いい文章を書ける人は他人の文章をよく理解し、他人の論文をよく理解できる人はいい論文を書くことができるということなのだろうか。
写真の右端はバーバラハンセン米国肥満学会会長で、アイドルのような容姿をされていた。その後、ハンセン女史の所に阪大医学部を首席で卒業した後輩が留学し、現在は帰国して肥満遺伝子の研究をつづけている。左端はジャンルノー・ヨーロッパ肥満学会会長だ。
写真中央とその左のブレイ夫妻は、中国禅の開祖達磨(5世紀後半~6世紀前半)の収集をされていた。達磨は南インドで生まれ、中国で活躍された。禅は日本にも伝わり、臨済宗、曹洞宗を通して広まっている。
ブレイ教授は1980年最初のヴィレンドルフ賞(肥満学のノーベル賞に相当するもの)を受賞され、スタンカード教授は1998年6人目のヴィレンドルフ賞を受賞されている。開祖達磨と六祖慧能、1人目と6人目、偶然とはいえ面白い。
肥満の行動療法は、禅に造詣の深い心理学者から始まっている。軽いストレスで、過食から肥満になる。姿勢、呼吸、心を整える(調身、調息、調心)禅は、ストレスによる肥満を解消するよい手段になるかもしれない。