肥満症ガイドライン食事療法と国際親善
肥満症ガイドライン2006の食事療法は、WHOの肥満症ガイドライン1997を基本として作られている。WHOでは1000kcal、1200kcal、・・の低エネルギー食と800kcal以下の超低エネルギー食となっている。それを日本風にアレンジし、1000~1800カロリーの肥満症治療食と、600カロリー以下の超低エネルギー食とした。
1000kcal、1200kcal、・・1800kcalと200kcal刻みで提案したので、80kcalを1単位としている糖尿病学会の人達から反対されるのではないかと思っていたが、逆に糖尿病学会の人達が積極的に支持され、全員一致で肥満症治療食10、12、14、16、18(1000~1800kcal)が採用された。
WHOの肥満症ガイドライン作成委員は12名で、その内4名を大阪・神戸で案内したことがある。米国のブレイ夫妻が来られた時は、大阪市役所に申請し、屋上にある「みおつくしの鐘」を特別に鑑賞させてもらうことができた。
スウェーデンのビヨーントルプ夫妻が来られた時は、ミシュランガイドに載っている北新地の"蘆月"に行った。司馬遼太郎も上方の味として絶賛している"紙なべ料理"は、野菜が40種類も入っていた。
オランダのセイデルが来た時は、ミナミの千日前を歩き、法善寺横丁の"えび家"で食事をした。若き日のセイデル(写真右)はハンサムなジェントルマンで、若い女性に絶大な人気があった。大阪はミナミの方が外国人には人気があり、道頓堀や千日前へはUSC時代の同僚だったインド人のシャギールを1度、フィスラー女史を2度案内した。
オーストラリアのジメット教授が神戸に来られた時は、神戸大学第2内科の馬場茂明教授と一緒にスナックに行って、肩を組んで歌を歌った。
多くの論文を集めても正しい結論が得られるとは限らない。数百~数千の論文を読むより、世界の一流肥満学者と直接話をして、意見を聞く方が早くてよくわかることがある。
肥満の食事療法は、エネルギー制限につきるというのが世界のほぼ一致した見解だ。エネルギー制限を、いかに長期に続けられるかが、肥満症専門医や生活習慣病改善指導士の腕の見せ所となる。