グローバル社会におけるビジネスの未来
2011年10月14日、JWマリオットホテル香港でのUSC同窓会香港で、シンポジウム「グローバル社会におけるビジネスの未来」があった。
司会はハンロングループを率いるロニー・チャンで、中国最大の石油化学会社のCEO(最高経営責任者)や、中国最大の食品会社CEOらがシンポジストだった。
石油化学会社CEOはUSC工学部出身で、2006年に中国ビジネス指導者賞を、2008年には世界のベストCEOに選ばれている。食品会社CEOは2009年と2010年に中国を代表するビジネスリーダーの1人に選ばれている。
シンポジウムの前、20人の報道陣が2人のCEOを取り囲み、大きなカメラで写真を撮り、インタビューをしていた。そばに立って見ていたら「ジャパンタイムズの方ですか?」と聞かれた。
商社の友人は「ロニー・チャンは香港島のビルや駐車場を所有し、上海にも不動産をたくさん所有している香港で1、2の大富豪で、世界でもトップクラスの大富豪だ。ロニー・チャンは香港から船で米国に渡り、苦学してUSCを卒業した」と言う。
香港の人に聞くと「新築のマンションは2~3LDKで1億2000万~1億5000万円、香港島のマンションは2~3億円する。東京六本木のマンションは安い。香港の平均月収は18万円で、家賃は15万円する」と言う。
シンポジウムでは「インドやアフリカ、ブラジルが発展すると、エネルギー・水・食糧が不足する。グローバル社会では、エネルギー・水・食糧を生み出す新しいテクノロジーがビジネスになる」という発言があった。食糧不足の時代が来ると、肥満が減少するかもしれない。
「OECD諸国の中には、エネルギーをジャブジャブ使っている国がある。ドイツや震災後の日本のように節約している国もある」という発言もあった。中国は自国のことが手一杯で、海外のエネルギー問題まで手が回らないかもしれない。日本やドイツが中心となって、エネルギー・水・食糧を節約する方法を開発し、世界に広めるとよいと思った。
中国では、アメリカやブラジルから大豆が輸入されるようになり、大豆価格が下落し、大豆生産農家の収入が減少したという。農産物の自由化は、食品会社や消費者にはメリットになるが、生産者にはデメリットになる。日本でもTPPで関税が撤廃されると、米生産農家が成り立たなくなると心配されている。中国も日本と同じような問題をかかえている。
私は英会話に劣等感を持っていたが、中国財界のトップの人でも英会話が得意でない人がいて安心した。流暢な英語より、つまりながらの英語の方が私には理解しやすい。中国財界トップの人達も、私とそんなに違わない同じ人間なんだと感じた。