大阪人の2型糖尿病と強化インスリン療法

2011年11月 3日

    20111029日、大阪国際会議場で第48回日本糖尿病学会近畿地方会が開催された。

ランチョンセミナーは大阪市立総合医療センターの細井雅之糖尿病センター部長による「2型糖尿病のインスリン療法ーはじめの第一歩」を聴いた。座長は大阪大学内分泌代謝内科の今川彰久講師だった。今川君は世界に先駆けて、劇症1型糖尿病を超一流医学雑誌"ニューイングランド・ジャーナル・メディスン"に発表している。

 

細井先生は「河盛隆造先生が105日のNHK"ためしてガッテン"で『インスリンで糖尿病は完治する』と言われ、それ以降インスリン療法を希望する患者さんが増加した。2型糖尿病は早期の段階で強化インスリン療法を行えば、60%の人が薬物療法の必要がなくなる」と話された。

強化インスリン療法は1日に34回注射し、血糖コントロールを厳格に行うものだ。強化インスリン療法も、いいことばかりではない。河盛先生も番組の中で話されていたように低血糖の心配がある。体重が増加すると、脂肪肝からNASHを起こす可能性もある。

 

ためしてガッテンのNHKスタッフが、私を訪ねて東京から2度取材に来られた事がある。2度とも内臓脂肪型肥満の話題の時だった。何人の人を対象に、どんな食事療法・運動療法を、どのくらいの期間行ない、どんな検査をしたらいいかプロジェクトを作った。NHKは産経新聞とともに、メタボリックシンドロームを世の中に広めた最大の功労者だ。

 

細井先生は「大阪人は粉もんが好きで、お好み焼き・たこやき・うどんなど炭水化物をメインディッシュにご飯を食べることがある。炭水化物の多い食事の場合、食後血糖が急速に上がるので、強化インスリン療法の食前のインスリンは、超速効型インスリンを30%より多い50%含んだものを使った方がよい場合がある」と話された。

 

市立伊丹病院時代、山本國夫管理栄養士(現甲子園大学教授)と「内臓脂肪型肥満の人は、お好み焼きや焼きうどんとご飯、寿しとうどんなど、炭水化物の重ね食いをする人が多い」と日本肥満学会で発表したことがある。

学会後、みのもんたが司会をする昼の番組"おもいっきりテレビ"のスタッフから電話取材があり、日本肥満学会で発表したスライドのコピー8枚をファックスで送り、放映されたことがある。

 

日本糖尿病学会の"糖尿病治療ガイド"にあるように、2型糖尿病の治療はあくまで食事療法・運動療法が基本だ。食事・運動がうまくいかなかった場合、インスリン治療の選択になる。強化インスリン療法がうまくいってもいかなくても、厳格な食事・運動療法をつづける必要がある。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

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