京都伏見十石舟の旅とものづくり日本
2011年11月6日、高槻市富田にある「あじとみ食堂」仲間7人で、京都伏見十石舟の旅に行った。
午前9時30分、JR摂津富田駅に集合。JR山崎駅からバスで京阪淀駅へ、京阪電車に乗り換え中書島駅に行った。
電器メーカーOBお勧めの「月の蔵人(くらびと)」で、1日40食限定「蔵人御膳」を食べた。本格手造りざる豆腐、汲み上げ湯葉刺身、八寸(柚子豆腐など11種類)、鶏の治部煮、天ぷら、栗ご飯、味噌汁、香の物にデザート、コーヒーまでついて1600円は安い。
午後1時、十石舟"秀吉"が宇治川派流を進み始めると、心地よい風が吹いて来た。豊臣秀吉が、伏見から京都市内への水路を切り開いている。左手に坂本龍馬とお龍の銅像が見えてきた。ここから2人は、日本で最初の新婚旅行に出かけている。右手に寺田屋が見えてきた。近くに土佐藩・薩摩藩・長州藩屋敷がある。
伏見港の最盛期には1年間2万隻の船が大阪から来たという。伏見みなと広場で十石舟から降りて資料館を見学し、土手から宇治川を眺めていると小雨が降り始めた。復路の十石舟の名前は"千姫"だった。伏見で生まれた千姫(徳川秀忠と江の娘)は、豊臣秀頼の正室となっている。
伏見の酒造街を歩いた。米を蒸した匂いがする。ウイスキー会社OBは「伏見の近くには広大な明治天皇陵があり、開発できないので良質な地下水が守られている。玉乃光純米大吟醸雄町が旨い」と言う。日本酒は味噌、醤油とともに日本のものづくりの象徴だ。
パナソニック(ナショナル)に協力し、歩数計を創ったことがある。ベルトの幅より細い、薄くて軽いスマートな歩数計ができた。1990年10月神戸で開催された第6回国際肥満学会ではパナソニックの好意により、歩数計を参加者(外国人600人、日本人500人)に配布することができた。
シチズンに協力し、体重計を創ったことがある。それまで発売されていた体重計の半分以下の薄さの、シンプルでスマートな体重計ができた。中国東北部の瀋陽に宿泊した時、ホテルの部屋にシチズンの体重計が置かれていた。異国の地に、自分が関わった商品があり感激した。
アップルの創業者でiPod、iPhone、iPadを創ったスティーブ・ジョブズの「より薄く、より軽く、よりシンプルに」というコンセプトは、パナソニックやシチズンのコンセプトに似ていると感じた。
日本の技術者の中にも、ジョブズになれる創造力を持った天才が存在するはずだ。現在の日本では、研究だけに没頭することが難しくなっている。お金のことなど考えず、好きな研究に没頭できる環境を整えてあげれば、日本版ジョブズが現われるのではないだろうか。