読書の秋とアランの幸福論
2011年11月2日、夜10時からNHK・Eテレ"100分de名著"で、「アランの幸福論」をしていた。
不機嫌や不幸の大部分は精神や心の問題ではなく、肉体に原因がある。アランは幸福になるためのおすすめ法として"休息・呼吸法・体操・ほほえみ・伸び・あくび"を挙げている。太極拳を始めた5~6年前から幸福感を持つようになったのは、呼吸法と体操の効果かもしれない。
アランは1868年生まれで1905年から、便せん2枚のエッセイを毎週、後に毎日、新聞に連載した。5000のプロポ(哲学断章)のうちから、幸福に関する93のプロポを集めたのが幸福論だ。私も5年前からA4用紙1枚にまとめたエッセイをメタボリック教室に書き始め385話になっており、アランと同じようなことをしていたのかと気付いた。
メール仲間に「読書の秋です。アランの幸福論」のタイトルでメールを送った。
市役所の友人から「アランの幸福論は、第一次大戦当時のフランスの世相がわかって面白いですね。ただ、幸福を求めるためのノウハウ・ハウツーものとしてはあまり役にたちません。というより、そもそも、幸福はノウハウによって求めるものではないんでしょうね。幸福の概説書とすれば、ラッセルの幸福論が直截的で良書だと思います。
小生の場合は、長年、市役所で組織人として悪戦苦闘してきたから、今、本棚を整理したらいろんな本が出てきます。そのときどきでどう感じてきたかは、割合こまめに日記に書いています。いまだに迷いに迷っている俗物なので、手当たり次第に本をあさっています。
幸福の感じ方も風土によって影響されること大のようで、解のある方程式ではないのでしょう。風土、時代、人間関係、環境、そして運、それらの中で真摯に生活してみて、感じることができればそれこそ幸福だという、極めて個性的なものと思います」と返事が来た。
11月12日、大阪梅田の紀伊国屋に行き、「アランの幸福論(岩波文庫800円)」と「ラッセルの幸福論(岩波文庫780円)」を買った。ラッセルは不幸の原因として"競争、退屈と興奮、疲れ、ねたみ、罪の意識、被害妄想、世評に対するおびえ"を挙げ、幸福をもたらすものとして"熱意、愛情、家族、仕事、私心のない興味、努力とあきらめ"を挙げている。
父はよく「一番の幸せは親子4人、何事もなく平凡に暮らしていることだ」と言っていた。椎名林檎はデビュー曲"幸福論"で「本当の幸せを探した時に、愛し愛されたいと考えるようになりました」と詠っている。幸福を家族に求めるものもいれば、愛に求めるものもいる。万人に共通する幸福論はないのだろう。秋の夜長は、読書をして楽しもう。