兵庫県川西市満願寺の食・紅葉と雇用問題
2011年11月27日、兵庫県川西市にある清和源氏発祥の地"満願寺"に行った。
午前12時自宅を出発、途中川西阪急百貨店で和歌山県由良町の"天狗しょうゆ"を買い、午後1時30分、高野山真言宗神秀山満願寺に着いた。
アーチ形をした山門(仁王門)をくぐると、深紅とオレンジ色の紅葉が見えてきた。ぽかぽか陽気の中、石畳を歩いた。本坊の前では若いカップルが写真を撮っており、「真っ赤な紅葉」と女性がつぶやくと、「きれいだ、凄いね!」と若者は言った。カーカーと烏の鳴き声が聞こえてくる。
境内にある「金時茶屋川西もみの木」で、"時うどん"を食べた。時うどんにはお餅、山菜、あおさが入っており素朴な味がする。窓から見る紅葉は今が見頃で、深紅の鮮やかな色をしていた。
金堂の左には鎌倉時代の代表的な層塔"九重の石塔"、その隣に"源家七塔"があった。子孫を守っているかのように、墓が七つ並んでいる。金堂の右には毘沙門天堂があり、七福神の一人"毘沙門天"が中に見えた。
森の中の道を昇って行くと、"坂田金時の墓"があった。坂田金時(幼少名金太郎)は源頼光の四天王の一人で、大江山の鬼退治で有名だ。満願寺の森は深い。ひんやりとした森の香りを胸いっぱいに吸った。
歩きながら下を見ると、緑の苔の道に木の根が張り出し、根っこと根っこの間には"どんぐり"がたくさん落ちていた。ふと、"これからの日本はどうなっていくのだろうか"という不安に駆られた。
先月10月20日、異業種の会で、ニューヨークタイムズのコラムニスト"トーマス・フリードマン"の「フラット化する世界(メタボ教室381段)」の話をすると、酒造メーカー取締役が「フリードマンの講演を聴かれたのですか。私もフリードマンの本を読んだことがあります」と言われた。
また、化学メーカーOBは「中国の安い労働力を使うと、EUや日本の雇用が失われ、EUや日本の労働者の賃金が安くなる。中国・インドなど発展途上国の賃金がEUや日本の賃金と同じになるまで、EUや日本の賃金は下がりつづけて行くのではないか。世界の労働者の賃金がフラット化するまで、相当な年数がかかる」と言われた。
日本の賃金は下がりつづけ、職に就けない若者が増えている。発展途上国との賃金格差がある程度小さくなるまで、日本の賃金は下がりつづけて行くのかもしれない。ギリシャ危機に端を発するEUの金融不安、米国の失業率増加、日本の雇用喪失の根っこは、世界の労働賃金のフラット化にあるのではないだろうか。
日本の雇用問題に対応できている不安の少ない社会の中で、桜と紅葉が美しい日本の自然を子や孫と鑑賞したいと思いめぐらした。