機能性食品とメタボリックシンドローム
2011年12月10、11日、大阪府吹田市にある大阪大学コンベンションセンターで、第9回日本機能性食品医用学会(伊藤壽記会長)が開催された。
10日午前9時40分、万博公園北側にある阪大キャンパス内に入ると、底冷えのする寒さの中、木は落葉していた。
午後0時10分からメインホールで山本國夫甲子園大学栄養学部教授によるランチョンセミナー「健常人にとって古くて新しい『マンナンごはん』との関わり」があり、座長をした。「マンナンごはんを使用すると主食のカロリーを24~44%減らすことができ、糖代謝も改善する」と話された。
ランチョン弁当は豆腐料理店"梅の花"によるものだった。ひとくち豆腐シュウマイ、湯葉揚げ、よもぎ麩田楽、赤こんにゃく、豆腐ハンバーグ、ちりめん山椒マンナンごはん、マンナンごはんのちらし寿司などが入っており、熱量は699kcal、蛋白質32.8g(19%)、脂質17.9g(23%)、炭水化物102.5g(58%)、食物繊維10.9gとなっていた。
日本肥満学会の栄養量設定基準の蛋白質15~20%、脂質20%~25%、炭水化物60%、食物繊維25g以上/日に合っている。
午後3時からシンポジウム「肥満とがん」があった。内臓脂肪が蓄積し低アディポネクチン血症になると、糖尿病・高血圧・動脈硬化症・肝硬変・癌を発症しやすくなる。機能性食品はよく使われているが、科学的根拠のあるものは難消化性デキストリンなどわずかで、玉石混合となっている。機能性食品もRCT(ランダム化比較試験)による臨床試験が必要だという。
前田和久阪大生体機能補完医学准教授は「機能性食品を用いた生活習慣病型癌患者に対する統合的介入」のタイトルで、高度肥満患者の手術時に採取されたヒト脂肪組織由来幹細胞(メタボリックステムセル:MSC)を用い、アディポネクチン分泌促進効果のある食品についての研究結果を述べられた。
オリーブ葉エキス・大豆抽出物・ライチ・琉球ハーブなど2000種類以上の機能性食品や食品成分を個々の患者の脂肪幹細胞に加え、どの食品がアディポネクチンを上昇させるか検討されている。アディポネクチンを上昇させる食品はいくつかあるが、効果に個人差があるようだ。
健康食品の世界へもサイエンスが入ってきている。アディポネクチンを増加させる食品が開発されれば、動脈硬化や癌を予防することができるだろう。今、大阪には風が吹いている。大阪で生まれた内臓脂肪型肥満・アディポネクチンが世界へと広まったように、大阪で生まれた機能性食品が世界へ広がることを期待する。