万葉びとの親心と家族の絆
2011年12月31日午後7時15分から、NHK「第62回紅白歌合戦」があった。
30日の夜に帰省した娘と、居間で家族いっしょに紅白歌合戦を観た。家族そろって同じ1台のテレビで紅白を観るのは久しぶりだ。猪苗代湖ズ、長渕剛、椎名林檎など東日本大震災や家族の絆を歌ったものが多い。歌の力は大きい。以前、森進一の港町ブルースを聞いて宮古・釜石・気仙沼や別府・長崎・枕崎に行ったことがある。
2012年元日、初詣に奈良県桜井市にある談山(たんざん)神社へ行った。談山神社は天智天皇・天武天皇・鏡女王など万葉びとと関連が深い(メタボ教室258段:藤原鎌足ゆかりの神社)。途中に石舞台・高松塚古墳・明日香村・高取町などの標識があった。高取町の壺坂寺では1泊2日し、犬養孝阪大文学部教授による万葉集の講演を聴いたことがある。
昔、幼稚園から帰ってきた娘に「園長先生が『子は宝』と言っていたけど本当?」と聞かれたことがある。幼稚園の園長先生は、万葉歌人"山上憶良"の子への愛情を詠った「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何せむに勝れる宝子に及(し)かめやも」のことを話されたのだろう。
談山神社は大きな木の森に囲まれた山腹にあり、清々しい緑の空気を胸いっぱいに吸った。参拝者は昨年の大震災の影響か、いつもより多いという。急な階段を途中で休憩しながら昇り、境内で家族の健康を祈願した。
1月2日、JR大阪駅付近を散策した。大阪駅北ゲートビルと南ゲートビルを結ぶ5階の広場の名前が、「とき(時空)の広場」になっていた。ルクア、大丸百貨店など大変な人出で、エスカレーターに乗るにも長蛇の列になっていた。阪神百貨店の地下食料品売り場も歩けないぐらい混雑しており、福島の薄皮饅頭(メタボ教室363段:郡山の食)も売られていた。
午後5時から、大阪駅前のヒルトンプラザウエスト燦(さん)で娘といっしょに食事をした。天然帆立の雲丹酒盗焼き・聖護院大根と合鴨の冶部煮・梅鶏の唐揚げや、燦の名物料理奈良県産 "大和(やまと)牛水煙蒸し"などを食べた。
午後7時20分、JR大阪駅で東京に戻る娘と別れた。真正面から娘の穏やかな笑顔を見て、さよならをした。改札口の方へ少し歩き振り返ると、もう娘の姿はなかった。急に淋しくなり、胸にこみ上げるものがあった。
正月の帰省では、多くの親子が再開し別れて行く。元の生活に戻る子に比べ、子が去っていく親の方がより淋しさを感じるのかもしれない。東日本大震災の後、お互いを思いやる家族の絆が見直されている。万葉びとの時代から親子の愛が詠われ、時空(とき)を超えて、親子の絆はつづいている。