京都大徳寺の食・健康十訓とメタボリックシンドローム
2012年1月29日、京都市北区紫野にある大徳寺へ鉄鉢(てっぱつ)料理を食べに行った。
午後11時10分自宅を出発、中国道・名神を通り12時40分、臨済宗大徳寺に着いた。1325年に創建された大徳寺境内は凍えるように寒い。鉄鉢料理"泉仙(いずせん)"がある大慈院のナンテンの木は、赤やオレンジ色の実をつけていた。泉仙で精進料理を食べるのは、学生の時以来41年ぶりだ。泉仙の鉄鉢料理は、半球形をした朱塗りの器に料理が盛られている。
先付、浸し物(白和え)、八寸(湯葉しぐれ煮、新蕗湯葉巻き、粟麩柚子味噌田楽)、蓋物(胡麻どうふ)、煮物(湯葉、里芋、角飛竜頭、絹さや、花麩)、天ぷら(かき揚げ、葛そうめん、ししとう、椎茸、蓮根)、お吸い物、香の物、炊き込み御飯が順番に出てきた。野菜とこんにゃくの白和え、湯葉しぐれ煮、角飛竜頭(かくひりょうず)が旨い。
七つの鉄鉢は同じ形で大きさが少しずつ異なり、一番大きいのは八寸の鉄鉢で、天ぷら、煮物、浸し物、蓋物、天つゆ、香の物の順に小さくなり、ロシアのマトリョーシカ人形のように一つの鉄鉢の中に入るようになっていた。
店の人に大徳寺の見どころを聞くと、「今の季節は枯山水の庭園がある大仙院がいい」と勧められた。
午後2時、右手に勅使門、三門、仏殿、法堂を眺めながら大仙院へ向かう途中、雪がパラパラと降り始めた。千利休と秀吉との間に確執のあった三門は、赤い色をしていた。
大仙院の人の案内で、枯山水庭園を眺めながら廊下を進み書院に入った。ここで漬物の"たくあん"を考案した沢庵和尚が、宮本武蔵に剣道の極意を伝授したという。
書院内に尾関宋園和尚が書かれた「気心腹人己(気は長く、心はまるく、腹立てず、人に大きく、己は小さく)」の短冊があった。「尾関宋園和尚は大仙院におられるのですか」と聞くと、「今、丁度こちらにおいでになった所です」という。
「健康十訓:少肉多菜・少塩多酢・少糖多果・少食多咀・少煩多眠・少怒多笑・少言多行・少欲多施・少衣多浴・少車多歩」と直筆で書かれた色紙を買い、サインをしてもらうことにした。
尾関宋園和尚は私の顔を見て、「勝人という名前ですか。人に勝つより己に勝つことです。己に勝つためには・・」とおっしゃりながら、色紙を包んだ紙に、「人間、五つの病気:あまえ、・・・、マンネリ」と書かれた。80歳の高齢にもかかわらず頭の回転が速く、口と手が同時に動く器用でエネルギッシュな方だった。
一期一会、いくつもの偶然が重なり、大徳寺の高僧と話をすることができた。これも何かの縁だろう。健康十訓はメタボリックシンドローム対策の参考になりそうだ。