奈良大神神社の食とメンタルヘルス

2012年2月 9日

    201225日、奈良県桜井市にある日本最古の神社「大神神社」に行った。

  午前1140分自宅を出発、阪神高速・西名阪道を通り午後120分、黒い色をした大鳥居に着いた。大神(おおみわ)神社は、257日の初えびすで賑わっていた。大神神社のご神体は高さ467mの三輪山で、全山が杉・松・檜に覆われており、パワースポットとしても知られている。 

JR三輪駅近くの線路を横切り、二の鳥居から木立に囲まれた参道に入った。左手に"夫婦岩"と呼ばれる苔むした岩が二つ、仲良く寄り添っている。拝殿の前には日本最古の道で、天理から桜井へのハイキングコースとなっている"山の辺の道"が通っていた。手が冷たさで痛く感じる。耳を澄ますとザクザクと小石の上を歩く参拝者の足音が聞こえてきた。

 

拝殿の右前に"巳の神杉(みのかみすぎ)"があり、白や茶色の卵がたくさん供えてあった。不思議に思って地元の人に聞くと、「白い蛇が棲む神木で、蛇の好物の生卵と酒が供えられている」とのことだった。祈祷殿の前に耳の長い"なでうさぎ"があり、頭の部分と肘・膝の部分がピカピカに光っていた。関節痛にならないよう肘と膝を手でなでた。

 

祈祷殿の先に"くすり道"があり、両側には薬木・薬草が植えられ、第一製薬、山之内製薬、田辺製薬、中外製薬、藤沢薬品、大日本製薬、住友製薬などから奉納された灯篭(とうろう)が並んでいた。

森のいい空気を吸いながら、さらに進むと病気平癒の神様として信仰が篤い"狭井(さい)神社"があった。屋根の分厚い緑の苔と、背後の深い緑の森とがマッチして神秘的だ。目を閉じると、キッキッという小鳥のさえずりが聞こえてきた。狭井神社の横には薬造りや酒造りに使われたという"薬井戸"があり、万病に効くという神水を味わって飲んだ。

 

帰路、素麺街道にある"池利の三輪そうめん茶屋千寿亭"で、奈良のうまいもの郷土料理:千寿亭昼膳(にゅうめん、地鶏すき焼き、柿の葉寿司)を食べた。1850年創業池利のそうめんは細くコシがあり、地鶏すき焼きはあっさりして美味しく、柿の葉をかぐと日本の風土を感じた。

 

先月、東京での第40回日本総合健診医学会で、「毎日、長時間画面を見て仕事をしている人は、メンタル障害になりやすい」という発表があった。視覚だけの二次元の世界に長時間いると、メンタルヘルス(心の健康)障害を来すのかもしれない。

 

メンタルヘルス対策の一つとして、休日に森や緑の多い神社仏閣に行って深呼吸をし、三次元の視覚・聴覚・嗅覚・味覚・皮膚感覚(触覚・痛覚・温度覚)の五感を研ぎすませることを推奨したい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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