家庭環境と子どもの肥満

2012年2月23日

    2012218日土曜日、朝のテレビで「トマト売り切れ続出」のニュースをしていた。

トマトの成分に、メタボリックシンドローム改善作用があることがわかり、スーパーマーケットのトマトやトマトジュースが売り切れているという。トマトというと、ちょうど5年前の「発掘!あるある大事典」のトマト騒動(メタボリック教室第20段:ダイエット番組)を想い出す。健康によいとされているものでも、過剰に摂取するとよくないので、注意が必要だ。

 

今回トマトがブームになったのは、トマトの中に脂肪を燃焼させ、肥満に伴う脂質代謝異常の改善に有効な新しい成分「13oxoODA」が発表されたことによる。発見者の河田照雄京大食品分子機能学教授とは20年以上の付き合いで、今年101112日にホテルグランヴィア京都で開催される第33回日本肥満学会の会長をされる。

 

午前中出勤し仕事を終え、職場で購読している医学雑誌を読んだ。臨床栄養20121月号に、山梨学院大学の古閑美奈子らによる「5歳児の食習慣が小学校4年生の肥満に及ぼす要因」の論文が目にとまった。山梨県甲州市で生まれ5歳児健診を受けた非肥満児1624人の食習慣を調べ、その子供たちが小学4年生になった時の肥満との関係を調べている。

男児では、5歳の時にインスタントラーメンを週3回以上食べている子供は、ほとんど食べない子供に比べ、肥満になる率が1.9倍多くなっている。女児では、魚を週3回以上食べている子供は、ほとんど食べない子供に比べ、肥満になる率が10分の1と少なくなっている。

 

インスタント食品と子どもの肥満について、どこかに書いた記憶がある。調べてみると、「きょうの健康シリーズ:肥満で悩む人に(NHK出版1994)」の"子どもの肥満"の項に、「インスタント食品を食べることが多い家庭では、子どもの肥満を招きやすいので、食事の管理をしっかりするよう」Drアドバイスしていた。

 

大阪府I市の小中学校で、1978年から15年間肥満児検診を行い、父兄の面接相談をしていたが、家庭環境に問題があることが多かった。子供にお金を渡して自由に食事をさせると、ファーストフードや菓子パンなどを食事にしやすい。好き嫌いが多くなり、食物繊維やビタミンが不足するなど、バランスのよい食事が摂れなくなる。

 

甘いもの、脂っこいものを好むという嗜好は幼少期に形成され、肥満につながるようだ。食育は、小中学校ではもう遅いのかもしれない。子どもを肥満にさせないためには、親は子供の食生活に関心を持つ必要がある。週に何回かは魚や野菜を使った手料理を食べさせることを奨める。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
目でみる臨床栄養学 UPDATE
メタボリックシンドローム

著作権について