京都清水の食と学校給食
2012年3月4日、京都清水にある「総本家ゆどうふ奥丹」へ行った。
午前10時自宅を出発、京都五条大橋近くの駐車場から傘をさして、寒さの中を歩いて清水(きよみず)に向かった。五条坂の急な坂道を登って産寧坂(三年坂)の入り口に着く頃には、顔がほてってきた。清水寺周辺は坂が多く、いい運動になる。
三年坂の階段を下り、二年坂にある奥丹に着いた。370年の歴史がある奥丹は広大な敷地で、ゆるやかな西斜面に広がっている。座敷の窓際から見る奥丹の庭は、苔むした小さな山になっており、滝から流れ落ちた水が川となって、大きな岩の間を流れていた。
奥丹のお昼のコースは、胡麻どうふ、とろろ汁、木の芽味噌田楽、野菜の精進揚げ、湯豆腐、ご飯、香の物だった。著名人の色紙がたくさん飾ってある。湯豆腐を食べている鉄腕アトムが描かれた色紙には、"1981年4月、手塚治虫"のサインがあった。槇原敬之の自画像は上手だ。
奥丹近くの老舗珈琲店「イノダコーヒ」で、モカベースのコーヒーを飲んだ。イノダコーヒはあらかじめ砂糖・ミルクを入れ、昔ながらの懐かしい味がする。窓の外の庭には、大きな梅の木があり、その向こうには山が見えた。
先月、管理栄養士の人達と子どもの肥満について話をしていた時、学校給食のことが話題になった。「おかしな給食を出している学校がある。カレーうどんとたこやき、ラーメンと菓子パン、クロワッサンと焼きそばなど、子供たちが欲しがるものを与えている。油と炭水化物が多く食物繊維が少ない献立で、栄養バランスがよくない」
「一部の学校では、給食の目標を残渣が少ない"喫食率"においている。みんな食べないと評価が下がる。今の子供は、家庭で食べないものは、学校でも食べない。残すものが少ないほど評価されるので、栄養を考えない子供の好きな給食になっている」と嘆く。
多くの学校は、限られた予算の中で献立を工夫し、栄養バランスと喫食率を上げようと努力しているのだろう。学校給食は食育の場でもあり、子供に迎合せず、子供が好きなものではなく、子供に食べさせたいものを与えることが基本だ。
京都に住む女性医師は「京都には父兄に昆布や鰹節によるだしの作り方や、京料理を教えている学校がある。学校給食も、壬部菜・九条ねぎ・聖護院大根など地元の食材を使っている所がある」と言う。
地産地消は、地元の農業の活性化にもつながる。ご飯と煮魚・みそ汁といった日本食の多い給食にすれば、メタボリックシンドローム対策になり、食糧自給率の向上にもなると思った。