福山の食・桜と備後文化
2012年4月7日午前11時、自宅を出発し中国縦貫道・山陽道を通って広島県福山市に向かった。
午後2時20分、福山の友人お勧めの「小魚阿も珍川口店」で、"ちーいか天刺身定食"を食べた。ちーいかは、瀬戸内海で獲れる小さないかだ。各テーブルには、JR福山駅でも売っている"いか塩辛柚子入り"と"じゃこふりかけ"が置いてあり、食べ放題となっていた。
午後4時40分、福山ニューキャッスルホテル3509号室に宿泊した。15階の部屋から、眼下に新幹線のプラットホーム、その向こうに福山城が見える。午後5時10分、福山駅北の急な階段を登ると、伏見城から移築したという伏見櫓・筋鉄御門があった。
福山城内には500本の桜の木があり、8分咲きになっている。花見客が寒い中、青いビニールやござを敷いて、缶ビールやお酒を飲みながら宴会をしていた。都市景観100選に入っている福山城公園を歩くと、クロガネモチが赤い実をつけ、コブシの木は白い花を咲かせていた。福山城では夜遅くまで提灯が灯っていた。
4月8日午前6時、ホテルの部屋の窓から外をみると、正面に真っ白い壁の福山城の天守閣が、左に伏見櫓を、右に月見櫓を従え、そびえ立っている。昼や夜と異なり、早朝の静寂の中で、くっきりと浮かび上がった福山城の姿に感動した。
午前8時からホテル1階にあるビュッフェレストラン「クレール」の朝食バイキングで、郷土料理の"鯛めし"と"うずみご飯"を食べた。鯛めしは漁師たちが船上で食べていたもので、ご飯と一緒に炊くことで、鯛のうま味をご飯に染み込ませている。
うずみご飯は、贅沢が禁止されていた江戸時代に、具をご飯の下に埋めたことから始まっている。ホテルのうずみご飯は、ご飯の下に鮭と白身魚があり、トッピングのきざみ海苔、三つ葉、おろし生姜をのせ、ほうじ茶をかけて食べた。
広島県は西部の安芸(広島市など)と東部の備後(福山市など)で成り立っている。江戸時代に幕府方だった備後と、反幕府方だった安芸が明治になって合併し、広島県になった。
広島県の伝統行事に出てくるのは、赤・青・黄色の布をつけた飾り牛のいる「花田植」、色鮮やかな衣装をまとった「神楽」、お盆の墓地に並んだカラフルな「盆灯籠」などだ。これらは全て、安芸のものだ。備後庄原で育った私は、テレビで取り上げられる広島県の姿に違和感を覚えていた。
安芸がアメリカのような華やかなイメージがあるのに対し、備後は北欧のような落ち着いたイメージがある。備後文化の「うずみご飯」を口にほおばった瞬間、ノスタルジアを感じることができた。