和歌山県橋本市の食と健康志向
2012年4月22日、和歌山県橋本市にあるファーマーズマーケット「やっちょん広場」に行った。
午前11時伊丹の自宅を出発、阪神高速、阪和道、爪楊枝の町・河内長野市を通り、長いトンネルを抜けると、そこは和歌山県橋本市だった。
午後1時10分、橋本の友人お勧めの"やっちょん広場"に着いた。やっちょん広場は、地元で採れる桃・ぶどう・柿など、旬の果物や野菜が安く買えるという。はっさく、大きな筍、わらび、クレソン、木の芽、青ねぎを買った。イチゴやほうれん草など8種類のシャーベットを売っており、"しらぬひ"のシャーベットを食べた。
やっちょん広場の2階にある食堂でA定食を食べた。窓の外には紀ノ川が流れ、山は濃い緑と淡い緑の鮮やかなコントラストをなしている。雨上がりの景色はくっきりと見え、きれいだ。
定食には筍、蕨、高野豆腐、ごま豆腐や珍しい"こごみの胡麻和え"があった。こごみは先が渦巻状になった山菜で、人が入れないような険しい山奥にあるという。各テーブルには特産のドレッシング"まるごと柿酢"が置いてあった。
帰路、大阪府河内長野市に入ると観心寺5kmの標識があり、どんな所か行ってみることにした。
午後3時10分、奥深い森の中にある"高野山真言宗観心寺"に着いた。駐車場の前には、馬に乗った楠木正成銅像がある。雨が強くなり傘をさして山門に入ると、幅の広い傾斜のゆるやかな階段がつづき、正面に朱色の柱の金堂が見えた。
右に後村上天皇御旧跡があり、ここで10ヶ月間、日本の政治が執行されている。左には楠木正成が、8歳から15歳まで学んだ中院があった。脇道に入ると人影はなくなり、桜が1本だけ咲いていた。静寂の中、苔むした木に囲まれ、ひんやりとした空気を吸い込むと、清々しい気分になった。
後醍醐天皇が建造した国宝"金堂"の右には建掛塔(たてかけのとう)があり、茅葺の屋根に分厚い苔が付いていた。南北朝時代、700年前からのものだろうか。この苔を見るだけでも、一見の価値がある。
金堂の中に入ると、木造の"なでぼとけ"があった。額・目・鼻・肩・手・膝など、擦り切れて木目が出ている所に病気を持つ人が多いのだろうか。太い献灯蝋燭がたくさん置いてあり、側面に願い事と自分の名前を書くようになっている。願い事の大半は身体健康と病気平癒の2つだった。今の日本人は、健康を重んじる人が多いのだろう。うれしいことだ。
私は医師として、たくさんの患者を診てきた。健康を害して、初めてその有難みを知る人も多い。人として、心身ともに健康であることに感謝し、毎日を過ごしていきたい。