港ヨコハマの食と回復する力・新しい力

2012年5月25日

    2012518日午後、パシフィコ横浜国立大ホールで、大江健三郎氏による第55回日本糖尿病学会の特別講演「回復する力、新しい力」があり、4000名が出席した。ノーベル賞作家はどんな人か見ようと、前から2列目中央で聴いた。

 

大江氏は「3.11の東日本大震災に伴う福島第一原発事故により、日本は大きな危機に直面している。回復するためには、事故をしっかり記憶し、後世に伝えなくてはならない。文学は個人に刻まれた記憶を、次の世代に伝承し、人間の死に方・生き方を示すことで、社会を立ち直らせることにある。

文学と医学は似たところがあり、ともに人間を扱う。糖尿病患者は病気に耐え、しっかりと、時には憂鬱になりながらも、生きていこうとしている。医療者は文学・絵画・アートなどで人間性を高め、病気を持つ人に回復する力・新しい力を与えてあげることが必要だ」と話された。

 

大江氏はまた「子供のころ、祖父が明治一揆の話をしていた。私も高齢になり、自分の中に老人だった祖父がいる。祖父が話していたことも伝えていきたい」と話された。私が父の語ったことを伝えるようになった(メタボ教室第21段「家庭教育・学校教育」、第71段「はだしのゲン」)のも高齢になってからだ。

 

夜、横浜駅東口のスカイビルにある多国籍レストラン"横浜クルーズ・クルーズ"で、広島県庄原格致高校のクラスメートと食事をした。横浜の友人に「横浜らしいところを」と頼んだら、クルーズ・クルーズだった。大島造船の経営で、店の名前も横浜らしい。27階から眺める横浜の夜景がきれいだ。

 

大阪からの来客ということで、テレビ局の友人が赤坂から、産業金融エコノミストの友人が日本橋から駆けつけてくれた。-2℃の一番搾りコールドビールに、-5℃のフローズン生を組み合わせた世界で一番冷たい生ビールで乾杯した。

友人たちは「トビウオの刺身は、もっちりして美味しい」「このトビウオは活きがいい。トビウオはすぐに傷みやすいので、トビウオを出す店は新鮮な魚を出す」と言う。みんな食通だ。

 故郷が同じだと、「田舎に残された家族をどうするのか」「先祖代々の墓をだれが守るのか」など、共通の話題がある。店長から久保田千寿一升瓶の差し入れがあった。3人とも顔が広い。酔いも回り、高校時代の話に花が咲き、気がついたら4時間が経っていた。

 

港ヨコハマで旧友と食事をし、楽しい時間を過ごすことができた。団塊の世代は元気だ。が、いずれ衰える時が来る。若い世代の新しい力で日本を回復し、日本の未来を切り開いてもらいたい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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