奈良ホテルの食と藤城清治影絵展
2012年6月10日、奈良県立美術館で開催されている「光と影のファンタジー:藤城清治影絵展」に行った。
午前11時30分、奈良県立美術館に着くと入場制限しており、小さな子供から老人まで300人が並んでいた。午後0時入館、第1室はモノクロや、童話の鮮やかな色彩の作品が展示してあった。
第2室には「ウィー・アー・ザ・ワールド」コーナーがあり、1985年1月ハリウッドで録音された光景が描かれていた。ライオネル・リッチー、マイケル・ジャクソン、シンディ・ローパーなどが影絵になっている。
ハリウッドは、ロサンゼルス留学中に住んでいたアパートから20分の所にあり、1985年1月当時、ロスではいろいろな国の人と交流していた。中でもアルメニア人とは家族ぐるみの交際をし、毎週、アルメニア家庭料理をご馳走になった後、濃いアルメニアコーヒーを飲みながら、「ゴルバチョフ体制になってソ連はどう変わるか」「ドイツの森林の酸性雨はどうなるか」など話をしていた。
第3室は奈良新作で、色鮮やかな花火が真っ黒な空に上がる「若草山山焼き」は、藤城清治の圧倒的な世界観を出していた。奈良ホテル・法隆寺・東大寺など奈良の代表的建築物のデッサンもあった。
第4室と第5室の間では、藤城清治(1924~)が影絵を制作している映像を流していた。88歳の現在もカミソリやスプレー、フェルトペンを使って、精力的に活動されている。第6室には、長崎の「軍艦島」や、広島の原爆ドームを描いた「悲しくも美しい平和への遺産」が展示されていた。
午後2時15分、奈良公園の高台に建つ「奈良ホテル」に行った。奈良ホテルは、天皇陛下が宿泊されるホテルで、廊下には赤い絨毯が敷かれ、皇族が来られた時の写真が数多く飾られている。
メインダイニングルーム「三笠」でランチを食べた。窓際の席から緑の木々が、その向こうに興福寺の五重塔が見えた。前菜は"真鯛と蛸とイカの海鮮サラダ"で、"ホワイトアスパラガスのスープ"があっさりとして美味しい。"ビーフシチュー奈良ホテル風"は口の中でとろけるやわらかさで、デザートの"ライチのムース"はライチのほのかな香りがした。
奈良ホテルのロビー「桜の間」にはピアノがあり、「アインシュタインが1922年12月17日から2泊した時に弾いた」と書いてあった。相対性理論で有名なアインシュタイン(1879~1955)が、ノーベル物理学賞を受賞した1921年の翌年になる。
アインシュタインは、「第3次世界大戦はどう戦われるかわからないが、第4次世界大戦は石と棒で戦うことになるだろう」という言葉を残している。