パスカル「パンセ」と自己中心論
2012年6月13日夜11時すぎ、テレビをつけるとNHK・Eテレ"100分de名著"「パスカルのパンセ」第2回、「もっと誰かにほめられたい!」をしていた。
「ブログで自慢ばかりしている理由とは?」とナレーションがあり、ドキッとした。人間の最大の卑しさは名誉の追及にあるという。私を含めブログやメールでは、どこの山に登った、どんな美味しいものを食べたなど自慢話が多い。
ブレーズ・パスカル(1623~1662)は、パスカルの原理でも知られるフランスの数学者・物理学者でもあるが、哲学者・思想家でもある天才だ。パンセは思考を意味し、日本ではパスカルの断片集「パンセ」を指す。「人間は考える葦である」「クレオパトラの鼻が、もう少し低かったら歴史は変わっていただろう」などの名言がある。
6月16日、近所の本屋で「パンセ(中公文庫1050円)」を買った。924断章あり、644ページと分厚い。断章150には「虚栄は深く人間の心に錨をおろし、それぞれ自慢し、自分に感心してくれる人たちを得ようとする。そして哲学者たちでさえ、それを欲しがるのである」と書いてある。
断章100でパスカルは「自己愛の本性は、自分だけを愛し、自分だけしか考えないことにある」と述べている。
私は悩みの多い中学時代、「世の中の全ての人は、私のために生きている。私につらくあたる人がいるのも、私を次の世に送るために鍛えてくれているのだ」と考えるようにし、それを「自己中心論」と自分で名付けて、心の支えにしていた。
高校1年の時の文芸誌「砂鉄31号」(写真)に載せている随筆にも、「絶対に逃れられない死に対し、どう考えるべきか。最初にこれに対して考えたのが、私がこの世で存在するのは、次の世で生活するための調整機関であるということだ。・・」と自己中心論を書いている。写真は自宅で撮った高校時代の私だ。
人は自慢話をするのが好きだ。過度な謙遜も自己愛の別の表現になる。パスカルは自己愛による自慢や嫉妬を認めつつも、「名誉の追及は人間の優秀さの最大のしるしだ。もっと誉められたいという自己愛が、生きる力になり、この世の中を動かす原動力になっている」としている。