東京ソラマチの食と肥満症治療食
2012年6月29~30日、東京・一ツ橋にある学術総合センターで、第30回日本肥満症治療学会が開催された。
6月29日午後0時30分、京都医療センターの浅原哲子臨床代謝栄養室長によるランチョンセミナー「フォーミュラ食品による生活習慣病の是正」があった。日本肥満学会の肥満症治療ガイドライン2006の図表が、いくつか使われていた(表)。
肥満症治療食の考え方は、肥満や糖尿病の専門家の間では浸透しつつあるようだ。糖尿病治療ガイド2012の39ページ目には、「適正なエネルギーの摂取量として、男性では1400kcal~1800kcal、女性では1200kcal~1600kcalの範囲にある」「肥満者の場合には、20~25kcal/kg標準体重として、体重減少を目指す」と書いてある。
午後5時、地下鉄半蔵門線の神保町駅から押上駅に行った。地上に出て、見上げる東京スカイツリーは高く、太陽がまぶしい。
東京ソラマチの30階にあるフレンチレストラン「ブラッスリーオザミ」に行き、窓際のスカイツリーが真正面に見える席で食事をした。トマトのシャーベットの上にスモークサーモンがのった冷たいガスパチョ、北海道産地直送生ウニと平爪蟹のジュレが旨い。メインディッシュは岩手産短角牛の富士溶岩遠赤プレート焼き、デザートは洋梨タルトだった。
東京スカイツリーの右に太陽が輝き、雲がゆっくりと右から左に流れて行く。眼下には東武線のとうきょうスカイツリー駅があり、電車が行き来している。ツリーのすぐ左には、東京都庁など西新宿の高層ビル群があり、その左にある東京タワーは小さく見えた。
地上150mから天空の眺めを堪能して、ふと周りを見ると、カップルばかりで、一人で食事をしているのは好奇心旺盛な私だけだった。この光景を見て、パスカルなら、「好奇心は虚栄心の裏返しだ」と言うだろう。
「我思う、ゆえに我あり」デカルトのように、「肥満の人に、どうして肥満症治療食が浸透しないのだろうか」と考え込んだ。肥満症治療食は2002年7月22日から、肥満学会・糖尿病学会・動脈硬化学会など13名のメンバーで何度も会議を繰り返し、3年かけて作成したものだ。ウエスト男性85cm・女性90cmは、あっという間に全国に浸透した。異議を唱える人が出て、マスコミによる論争がある方がいいのかもしれない。
カロリー計算は、"一般の人には面倒である"ように感じる。より簡便で、実行しやすいエビデンスのある食事療法を提言していきたい。