福岡の食と指導者・教育者のあり方
2012年7月19~20日、ヒルトン福岡シーホークで「第44回日本動脈硬化学会(佐々木淳会長)」が開催された。
20日午後0時10分、国立循環器病センター豊田一則脳血管内科部長によるランチョンセミナー「心原性脳塞栓再発予防の視点からみた抗凝固療法の重要性」があった。
心房細動では、心房にできた血栓が脳の血管に詰まり、脳梗塞になることがある。血栓予防の特効薬ワルファリンは、毎月、凝固時間の血液検査をする必要があり、納豆を食べられないなど食事に制約があった。新しく発売された経口Xa因子阻害剤は、その点、使いやすそうだ。出血した際の止血法などを確立し、安心して使える薬に育てて欲しい。
ランチョン弁当は「九州味ものがたり」で、焼き明太・明太いわし・花咲きイカシュウマイ・筑前煮・からし蓮根・さつま芋レモン煮などだった。
午後1時10分、元南海ホークス野村克也監督による特別講演「弱者の戦略」があった。
74歳の野村氏は「選手は監督に認められたいと思って、練習をしている。その心は時代が変わっても同じだ。練習・試合を見る、誉める、叱る。愛情がなければ気持ちは通じない。
三原・水原とともに三大監督とよばれた鶴岡監督のいる南海ホークスに入団した。鶴岡監督は、自軍の選手を絶対誉めない監督だった。西鉄ライオンズの中西・豊田・高倉が練習していると、『おい野村、よく見とけ!これにひきかえ、お前は銭にならんのう』と言われた。鶴岡監督に一度だけ『お前、ようなったなあ』と誉められ、すごく自信になった。監督の一言が自信になる。
弱者は強者と同じようにしていては、強者に勝てない。孫子の兵法にあるように、己を知り、相手を研究することが必要だ」と話された。
孫子は2000年以上前、「部下に対しては、愛情を持って接しなくてはならない。しかし、部下をかわいがるだけでは、思い通りに命令できず乱れてしまう。やさしさと同時に、厳しさが必要だ」「人は皆、誉められると嬉しい。しかし、マイナス面に触れないと、かえって信頼性を失う。人を動かすには、誉める前に小さな欠点を指摘しておくと、より効果的だ」としている。
帰りの山陽新幹線「さくら570号」で、博多駅で買った「呼子萬坊いか三昧弁当」を食べた。いかめし(雲丹入り)・いか白子の燻製・するめいか一夜干し・烏賊の有馬煮・いかん子ウィンナー・いかと昆布の呼子ふりかけ飯・いか炊き込みご飯があった。中でも、呼子名物「いかしゅうまい(蒸し)」が旨かった。
新幹線の中で、野村氏の話と孫子の話がリンクしていることに気が付き、指導者・教育者のあり方が少しだけ垣間見えたような気がした。