果糖・コーンシロップとメタボリックシンドローム
2012年7月28日、ホテルグランヴィア大阪で、「第8回高尿酸血症・メタボリックシンドロームフォーラム」が開催された。
午後4時25分から、兵庫医科大学内分泌代謝内科森脇優司教授による特別講演「メタボリックシンドロームと痛風・高尿酸血症」があった。
森脇教授は「メタボでは、内臓脂肪の蓄積によりインスリン抵抗性・高インスリン血症が引き起こされる。高インスリン血症は、近位尿細管において、ナトリウムと尿酸の再吸収を促進し、その結果、高血圧や血清尿酸値の上昇をもたらす。高尿酸血症とメタボをきたす共通の要因として、『果糖の関与』を示唆する仮説も提唱されている」と講演された。
また、「米国ではコーンシロップなど、果糖・ぶどう糖を多く含む清涼飲料水の摂取が急速に増加し、それとともに肥満、高尿酸血症、高中性脂肪血症、メタボが増加した」と話し、その際、米国USC時代の私の恩師・ブレイ教授の図(米国臨床栄養雑誌2004)を引用された。
私はフロアから「最近、果糖が注目されるようになって嬉しい。私たちは20 年以上前から、ショ糖(ぶどう糖・果糖)が内臓脂肪を蓄積させ、果糖が内臓脂肪を蓄積させる要因の一つではないかと言っていた。毛野らが1991年、国際肥満雑誌に載せている」とコメントした。
ラットに高ショ糖食を与えると、腸間膜脂肪(内臓脂肪)/皮下脂肪比が上昇していた。海外では、果糖は肝臓で脂肪合成に利用されやすく、内臓脂肪を蓄積させ、ぶどう糖に比べインスリン抵抗性を来しやすいこと(JCI2009)、果糖は視床下部の食欲中枢に働き、摂食量を増加させること(PNAS2008)などが報告されている。
コーンシロップで摂取する果糖が、世界的に増加している。とうもろこしは人類にとって必要とされる植物だが、その反面、果糖ぶどう糖として大量摂取されることにより、肥満を増加させている。果糖ぶどう糖は砂糖に比べ、より甘く安価だ。米国では、低所得者層ほど、水の代わりに安価な甘い炭酸飲料を摂取し、カロリー過多となり、それが肥満の要因の一つとなっている。
高尿酸血症・メタボ対策には、果糖・コーンシロップの入った飲料の過剰摂取を避け、お茶・水などカロリーのない飲料を飲むことを奨める。