受験生のための健康講座
2012年11月7日朝、職場でインフルエンザの予防接種をした。同僚医師は、「1年が経つのが早い」と言う。齢をとると、1年1年があっという間に過ぎていく。
昼、近くの食堂で日替わり定食を食べた。秋刀魚(さんま)、栗ごはんなど、旬の食材を使った料理が多い。最近、こういう店は少なくなった。壁にある大きなパネル写真が、紅葉に替わっていた。去年、京都で撮影したものだそうだ。
京都の友人は、「賑やかだった京都の街は、この秋から中国人観光客が激減し、美術商や飲食店にも影響が出ている」と言う。京都の紅葉でどこかいい所はないか聞くと、永観堂、東福寺、真如堂(メタボ教室第175段「京都の紅葉」)を教えてくれた。どこも行ったことがあるが、いい所だった。
夜、自宅の書庫を整理していたら、「受験生のための健康講座」の企画書と新聞の切り抜きが入った封筒が出てきた。
1988年6月から1年間、産経新聞の毎週土曜日夕刊の教育面に、中学生・高校生を対象に、受験期の健康対策について連載していた。自分が書いた新聞記事を、24年ぶりに懐かしく読んだ。
1988年5月、編集者といっしょに、健康講座の"ひな形"を作った。毎回異なる症例をとりあげ、解説していく。具体的な例がわかりやすいと思い、診察室に母親が子供を連れてきて、医師に相談し、それに対して医師が答えるという会話を形式を最初に入れることにした。
見本 表示のタイトルは「夜食は禁物」で、母親が、受験勉強の夜食で肥満になった中学3年生を連れて診察にくる設定だ。受験生が太らないための注意点を解説している。
1988年8月27日土曜の健康講座⑪「頭のリズムー睡眠と休養」 表示では、診察室を訪れた母親の「うちの子供、来年受験で夜遅くまで勉強しているのはいいのですが、体調が悪く能率があがらないようで」という訴えに対し、「受験勉強=集中力×時間、ですよ。いくら時間をかけても集中してやらないとダメ。睡眠が足りないと、どうしても集中力が落ちてきます。・・」と答えている。
"受験勉強=集中力×時間"は、私が高校生の時に父がよく言っていた言葉だ。メタボ教室第41段「創造力」にある"創造力=体験×意欲×自由な時間"は、父の言葉に由来していたのかもしれない。
メタボ教室は1040~1080字にしているが、健康講座は13字50~60行、原稿用紙2枚弱としていた。
秋には「スポーツと水分補給」、冬には「マイコプラズマ肺炎」、春には「花粉症」などを執筆している。季節に応じて書いているところ、字数を制限している所など、メタボ教室の原型を見たような気がした。