俳人・文士ゆかりの宿と奈良大乗院庭園

2013年2月 7日

    20131月、俳人・文士ゆかりの宿「奈良ホテル」に行った。

JR大和路線で奈良駅に行き、駅から4つ目のバス停「奈良ホテル前」で下車、舗装された坂道を歩いた。俳人・高浜虚子は新聞記者時代、砂利道だったこの坂道を、人力車に乗って一気に駆け登っている。

 桃山御殿風檜造りのホテルが見えてきた。奈良ホテルは東京駅を手がけた辰野金吾により設計され、1909年"皇族・国賓を迎える関西の迎賓館"としてオープンしている。和洋折衷ホテルで、ホテルに宿泊した高浜虚子は、紐を引くと勢いよく水が出てくるトイレに驚いている。

 

床・階段には赤い絨毯が敷きつめられ、館内には横山大観・上村松園・河合玉堂らの絵画があり美術館のようだ。設備も最新のものがあり、奈良県で唯一のWi-Fi(ワイファイ)があるホテルとなっている。

部屋の天井は45mと高く、ゆったりとした時間を過ごすことができる。ローマ法王、ダライラマ14世、ニクソン、鄧小平、胡錦濤、ガンディー、ネール、ヘレン・ケラー、堀辰雄、チャールズ・チャップリン(新婚旅行)、オードリー・ヘップバーン、三船敏郎らが宿泊している。

山口誓子、森鴎外、谷崎潤一郎、志賀直哉、林芙美子、和辻哲郎、亀井勝一郎など俳人・文士も、このホテルに足跡を残している。

 

正午から、天皇陛下がお食事をされるという"菊の間"で宴(うたげ)があり、21人が出席した。菊の間の襖は金箔貼りで、平泉中尊寺金色堂に似ている。窓の外に、興福寺の五重塔と若草山が見える。

 

前菜は"鯛とノルウェーサーモンのサラダ仕立て柚子風味ソース"で、白ワインのフルーティーな香りがいい。奈良ホテルのソムリエは、奈良県で最初に資格を取得したベテランだ。メインの肉料理は"牛肉ステーキとフォアグラのロッシーニ風"で、料理にあった赤ワインが出された。

宴では、司馬遼太郎が話題になった。司馬遼太郎は、産経新聞文化部長時代から奈良ホテルを愛用している。司馬遼太郎の名前の由来は、あこがれていた司馬遷(メタボ教室第76段「ニート」)より名付けられたという。

 

午後245分、奈良ホテル敷地内にある「大乗院庭園」に行った。15世紀末、善阿弥が築造した池水回遊式庭園で、2010年から一般公開されている。春は桜、夏は百日紅、秋は紅葉、冬は雪景色が楽しめるという。あたたかい日差し中、大小の池で鴨が泳いでいた。皇室の方も散策される庭園で、茶室・和室もあり、園遊会もできそうだ。

 

俳人・文士にこよなく愛されてきた奈良ホテルは、何度来てもワクワクする。多くの歴史を刻み込んだ奈良ホテルは、今も新しいものも取り入れ、進化しつづけている。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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