患者紹介ビジネスと尊厳死
2013年2月20日午前9時30分、診察室にいると同僚医師が「梅村さとし議員が、テレビに出ていますよ」と教えに来てくれた。
待合室のテレビでは、参議院予算委員会の国会中継をしており、梅村聡議員が質問に立っていた。「あの人が、先生の後輩になる梅村議員ですか」と看護師さんたちが言う。梅村議員は阪大2内の24年後輩になる。稲田朋美規制改革担当大臣に、堂々と質問していた。
家に帰って、インターネットで国会中継を観た。1時間20分だったが、中身の濃い質疑応答だった。梅村議員の国会質問は、議論の中で"何が問題点なのか"を浮き彫りにするという内容で、"問題を解きながら学べる"という阪大2内の試験問題の作成手法に似ていた。
阪大2内は、伝統的に国際学会を重要視する。国際肥満学会、国際動脈硬化学会での日本の存在感は大きい。国際社会は国会議員を国民の代表としており、官僚はオブザーバーで発言権はない。日本の考え抜きで、世界の物事が決まって行くことが多い。梅村議員は国際会議に出席し、日本の国益を主張している。
田村憲久厚生労働大臣に、最近、医療者の間で話題となっている"患者紹介ビジネス"について、「在宅医にサービス付高齢者住宅の患者さんを紹介して、一人毎月1万5750円のリベートを取っている。これは法律違反ではないか」と質問していた。
田村厚労大臣は「それが事実なら、今後そのようなことがないよう対処する」と答弁された。患者紹介ビジネスは、国が推し進める在宅医療の根幹にかかわる問題だ。高齢者介護サービス付きマンションの契約医が遠方の場合、いざという時に往診・看取りができず、すぐ病院へ送ることになる。
麻生太郎財務大臣が「さっさと死ねるようにしてもらわないと」と発言したことに対し、梅村議員は「発言を責めるつもりはない。むしろ国民的議論が広がってほしい」と発言の真意をただした。
麻生大臣は「誤解を生む発言で、大変申し訳なかった」と謝罪された上で、「尊厳を持って静かに死なせてもらいたいというのが、率直な私の気持ちだ」と述べられた。
安倍普三内閣総理大臣に、尊厳死について「日本では、延命をしてほしい権利は担保されているが、延命をしてほしくない権利は担保されていない」と総理の見解を求めていた。
安倍総理は「尊厳死は重い問題だ。自分の最後をどう閉じるか、望んでもいない延命が必要なのかどうか。様々な考え方があり、尊厳を持って死ねるしくみを慎重に議論していきたい」と答えられた。
在宅医療・尊厳死(メタボ教室409段「2025医療・介護問題」)については、本質的な議論を行うことが必要だ。