健康太極拳春の集いと知的障害者教育
2013年3月3日、大阪市北区中之島にある大阪国際会議場で「日本健康太極拳2013年関西春の集い」が開催され、310名が参加した。
午後1時30分、楊慧先生による講演があった。「父・楊名時は、大切な5つの戒めの頭文字をとった『愛多く(あいおおく)』という言葉をよく使っていた。
あは"焦るな"で、自分を追い立てると自分が見えなくなり、判断を狂わせ思わぬ失敗をする。スピードに価値があるという時代に生きている今こそ、自然体でゆとりある心を持つことだ。
いは"威張るな"で、謙虚になること。思いやりの心が大切だ。
おは"怒るな"で、怒った顔の人、心に怒りを持った人の周りには誰も寄りつかない。
おは"怠るな"で、能力はあっても怠けていると力を発揮することはできない。継続することが重要だ。
くは"腐るな"で、失敗しても、挫折しても、めげてはいけない。感謝する気持ちをいつも持っていると、腐る気持ちがなくなる。
"愛多く"を支えるのは、人を愛し、自分を愛し、人生を愛する心だ」と話された。
楊名時太極拳の呼吸法は、道教の秘伝を取り入れている。道教の中心概念"道"は、大宇宙と小宇宙(個人)との根源的な融合を表わす。道家には老子(メタボ教室第23段「少子化問題」、第283段「リーダーシップ」)や荘子がいる。
隣の席になった初対面の男性と話をした。「頼まれて、知的障害者に太極拳を教えに行っている。座って一人で遊んでいる子もおり、1,2,3と言っても、右や左と言っても理解できない。最初不安だったが、『走り回る子がいても、かまわず太極拳を教えてください』と言われ、自由に太極拳をしていたら、ついて来てくれるようになった。
知的障害者は一般の人に比べ感受性が豊かで、素直なので上達が早い。言葉で理解しようとしない分、一般の人より太極拳の心がわかるのかもしれない。今では20数人全員が、いっしょに太極拳ができるようになった。終わった後、4~5人が握手をしに来てくれ、生きがいを感じている」と言われた。
住宅メーカーOBの友人は「今の子どもは、理数系の力が落ちている。ボランティアで、小学生に理科の楽しさを教えている。小学生は吸収が良くて、教えがいがある。子どもが理科に興味を持つよう、益川敏英教授にも頼んで協力してもらっている」と言う。
太極拳は言葉が理解できない知的障害者にも伝わる。世の中の役に立って、生きがいを見つけようと思っている高齢者は多い。高齢者が知的障害者教育、小学生教育などに参加できるしくみを作るとよいと思った。