熊本の食文化と新しいHbA1c目標値
2013年5月15~18日、熊本市で第56回日本糖尿病学会(荒木栄一会長)が開催され、1万人が参加し、史上最高の2700演題が発表された。
5月15日午後5時、熊本市民会館で評議員会があり、午後8時から熊本城奉行丸特設会場で評議員懇親会があった。太鼓、加藤清正の寸劇、熊本県知事、熊本市長の挨拶の後、午後8時45分、熊本城がブルーにライトアップされた。
5月16日午後3時40分、「新たなHbA1c目標値についての特別声明」が出された。血糖正常化を目指す際の目標は6.0未満、合併症予防のための目標は7.0未満、治療強化が困難な際の目標は8.0未満となり、今年6月1日より施行される。従来の優・良・可(不十分・不良)・不可に比べ簡素化され、使いやすくなった。
午後6時、熊本市民会館近くの郷土料理"おはこ銀座通店"で食事をした。地魚の皮ハギの姿造り 表示についてくる肝が旨い。馬刺し5点盛り 表示(ヒレ・ヒモ・ハツ・フタエゴ・タテガミ)をショウガ醤油で食べた。本場、熊本で食べる馬刺しは、癖がなく美味しい。馬肉を生で食べる地域は、古くからの馬の名産地が多い。馬肉入り玉子焼き、馬肉の鉄板焼きや、熊本名物の辛子レンコンも食べた。
大阪大学の演題数は59題と、東京大学の52題を抜いてトップになった。大阪大学のアクティビティは着実に右肩上がりになり、何人か優秀な若手研究者も芽を出してきている。研究者にとって、研究に没頭できる時代が一番幸せな時だ。世界をリードするような独創的な研究は、焦らずじっくりするといい。
5月17日午後6時、熊本キャッスルホテル前の味処"お川"で、甲元眞之熊本大学文学部附属永青文庫研究センター長と食事をした。熊本城 表示を眺めながら、鮮度のいい霜降り馬刺し、タテガミ、天草で獲れたシマアジの刺身、鯛の白子焼き、ブリのあら煮を食べた。熊本は馬刺しで有名だが、海の幸も豊かだ。
甲元センター長は、"日本人の起源"が専門の考古学者で、中国・韓国・ロシア・台湾・フィリピンで発掘調査をされている。阿蘇の地酒"霊山"、球磨の米焼酎"待宵"を飲みながら、縄文人と渡来弥生人の体型の違いなど、9時過ぎまで考古学の話をした。
救急車で運ばれてくる糖尿病患者の90%以上は、高血糖ではなく低血糖による。インスリンや一部血糖降下薬による厳格すぎる血糖コントロールは、しばしば重い低血糖を起こしてきた。低血糖が長く続くと、認知症になることもある。
新しいHbA1c目標値6、7、8は、合併症や低血糖の危険を考慮したものであり、医師のみならず患者にとっても、今後より有用なものになるであろう。