映画「風立ちぬ」と健康日本21・受動喫煙
2013年8月6日、宮崎駿監督アニメ映画「風立ちぬ」を観に行った。
午後5時50分、館内はレディースデイとあってか、8割以上が20~60歳の女性だ。主人公は零式艦上戦闘機(零戦)など次々と優れた飛行機を設計した"堀越二郎"をモデルとしている。宮崎駿は紅の豚や、風の谷のナウシカ・天空の城ラピュタ・魔女の宅急便など、飛行機や空が好きなようだ。飛行機の細やかな描写で、堀越二郎の情熱が伝わる。
堀越二郎の同僚"本庄"は、三菱重工業の本庄季郎をモデルとしている。堀越と本庄はドイツに留学し、堀越は西回りで日本に帰国する。新幹線を作った島秀雄(メタボ教室484段「アフリカの肥満」)も戦前、西回りで世界一周をしている。私も西回りで世界一周をし、ドイツのハイデルベルグでは紺のブレザー
表示を買い、フランクフルトではゲーテハウス
表示に行き、ライン下り観光をした。
二郎の恋人"菜穂子"は堀辰雄の小説「風立ちぬ」に由来する。戦時中、結核は死の病だった。煙草を吸うシーンが随所に出てくるが、結核に冒された菜穂子の手を握りながら、煙草を吸うシーンには違和感を覚えた。あのシーンで煙草を吸う必然性はない。肺を患う人への気遣いがあってもよかった。
2012年の「健康日本21(第2次)」では、受動喫煙の機会を低下させるため、目標を定めている。行政機関では2008年の16.9%から2022年0%、医療機関では2008年の13.3%から2022年0%、職場では2011年の64%から2020年0%、家庭では2010年の10.7%から2022年3%、飲食店では2010年の50.1%から2022年15%が目標値となっている。
喫煙による健康障害は、多くの科学的知見により因果関係が確立している。喫煙は癌(口腔、咽頭、喉頭、肺、食道、胃、大腸、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頚部、鼻腔、副鼻腔、卵巣がん、急性骨髄性白血病)、循環器疾患(脳卒中、虚血性心疾患)、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患)、糖尿病、周産期異常(早産、低出生体重児、死産、乳児死亡)の原因となっている。
受動喫煙も虚血性心疾患・肺がんや、乳幼児の喘息・呼吸器感染症・突然死症候群の原因となる。受動喫煙による年間の超過死亡数は、約6800人と推測されている。わが国の喫煙率が、男性では2003年の46.8%から2010年32.2%、女性は2003年の11.3%から2010年8.4%に低下していることは、喜ばしいことだ。
わが国で、死亡者数と最も大きく関連する危険因子は、「喫煙」となっている。2007年の死亡者のうち、12万8900人が喫煙によると推定されている。今後、さらに喫煙率が低下し、受動喫煙も減少することが望まれる。