高尿酸血症・糖尿病・CKDと果糖・ブドウ糖液

2013年8月 1日

    2013727日、ホテルグランヴィア大阪で「第9回高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム(木原康樹会長)」が開催された。

午後2時、京都大学慢性腎臓病ラボの仲川孝彦准教授による基調講演「血管障害・代謝異常における尿酸の役割」があった。

「フルクトース(果糖)は、血糖値や尿酸値を上昇させる。米国ではソフトドリンクなどに甘味料として、果糖60%・ブドウ糖40%を含んだ果糖・ブドウ糖液が使われている。米国で肥満が増加しているのは、果糖・ブドウ糖液の影響が大きい。ラットに果糖を投与すると、アルブミン尿・CKD(慢性腎臓病)を引き起こす」と話された。

 

午後6時、懇親会があり、広島大学循環器内科の木原康樹教授と話をした。木原教授は広島県三次市十日市小学校の出身だった。「庄原は医師不足で困っている。何とかなりませんか」と聞くと、木原教授は「県北では開業医が亡くなっても、あとを継ぐ医師がいない。庄原地区の中核病院として、庄原赤十字病院を増改築し、内科医を増やしている」と、過疎地の医療に力を入れられていた。

 

仲川孝彦准教授と、高尿酸血症モデル動物や、果糖・ブドウ糖液の話をした。「果糖・ブドウ糖は、砂糖に比べ安くて甘いので、大量に使用されている」と言われる。日本で販売されているソフトドリンクの多くは、砂糖の代わりに果糖・ブドウ糖液が使用されている。

果糖・ブドウ糖液の1日当たりの消費量が最も多いのはアメリカ68gで、カナダ25g、韓国19g、日本17gとなっている。イギリス1.0g、フランス0.4g、イタリア1.1gなどヨーロッパ諸国は少ない。日本の砂糖消費量は世界90位と少ないが、果糖・ブドウ糖液の消費量は9位と多い。

 

201211月、USC(南カリフォルニア大学)とオックスフォード大学は共同で、「42か国で、果糖・ブドウ糖液と糖尿病との関連を調査し、果糖・ブドウ糖液の消費量の多い国の糖尿病罹患率は8%と高く、少ない国は6.7%と低くなっていた。ソフトドリンクや菓子に大量に使われている果糖・ブドウ糖液は、砂糖の摂取量や肥満とは独立した2型糖尿病の危険因子と示唆される」と報告している。

日本に当てはめると、120万人の糖尿病が、果糖・ブドウ糖液によって増えていることになる。

 

果物と果糖は、ともに"果"がつくが、全く別物だ。果物は果糖以外に、繊維・ビタミン・ミネラルなどの栄養素も豊富に含んでいる。果糖の方が、ブドウ糖や砂糖に比べよくない。

果糖・ブドウ糖液の過剰摂取は、肥満・メタボリックシンドローム・2型糖尿病・高尿酸血症・CKDを引き起こす可能性があり、十分な注意が必要である。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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