「肥満症の栄養指導」の実際10項目

2013年10月18日

    2013101112日、東京フォーラムで「第34回日本肥満学会」が開催され、1700名が参加した。

1012日午前10時、教育講演4「肥満症の栄養指導(抄録 表示)」を行なった。肥満症治療食1810、適正な三大栄養素の配分、栄養指導の実際、果糖(果物ではない)の過剰摂取による健康への影響、子どもの肥満について話した。

 

講演後、茨城県の管理栄養士の人がやって来られ、「わかりやすい講演で、とても参考になった。"栄養指導の実際10項目"のレジメがあればいただけませんか?」と聞かれた。茨城県へは、筑波大学の田中喜代次教授に招かれて行き、筑波大で「肥満症の概念と病態生理」の講演をした夜、茨城県の管理栄養士の人達と、居酒屋で串カツを食べながら話をしたことがある。

 

「栄養指導の実際10項目」は1か月前、私の臨床経験を基に、大阪の管理栄養士の人達の意見を取り入れ作ったものだ。

1.個人個人の食生活を知る

2.患者の嗜好に合わせた栄養指導

3.体重日記をつけてもらう

4.減量した人に対し誉める

5.太った人に対し、どうして太ったか、自分で考えてもらう

6.摂食量を減らせば体重は必ず下がる

7.体重は自己申告ではなく、目の前で体重測定をする

8.体重だけでなく、腹囲も測定すると動機付けになる

9.カロリー制限の話だけだと、理解できない人も多い。野菜から食べるなど具体的な方法を指導する

10.危ない民間療法とサプリメント

 

講演では、「肥満者の食生活を知ることにより、何を減らせばよいかがわかる。高カロリーの脂肪を多く摂取している人には脂肪を、甘いものを多く摂取している人には甘いものを減らすように指導する。

高齢者では、好きなものを食べることが生きがいになっていることも多い。無理強いしないで、できる範囲でするとよい。若い肥満者は通院を止めない程度に厳しく指導する。

リンゴだけ、キャベツだけを長期間つづけるような、極端な単品ダイエットは健康を害する。民間のやせ薬の中には、甲状腺末や副作用で発売禁止となった薬剤(メタボ教室第16段「やせ薬と肥満」)など有害なものが含まれている場合があるので注意が必要だ」と解説した。

 

肥満症の栄養指導の基本はカロリー制限だが、カロリー計算を理解し実行できる肥満者は少ない。個々の食生活(食事の嗜好・食事時間・間食など)を十分に聴き、その人にあった栄養指導をすることが重要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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