「日本の各地域における肥満」と特定健診データベース
2013年10月11~12日、東京フォーラムで「第34回日本肥満学会」が開催された。
10月12日午前8時30分、一般口演「EBM・疫学」で、あいち健康の森健康科学センターの津下一代らによる「特定健診2245万人のデータを活用した、性・年齢・年齢調節後地域別データの見える化」があった。
津下センター長は「特定健診ナショナルデータベース(NDB)を用いて、全国の特定健診受診者2245万人を対象に、性・年齢・地域別の肥満状況を検討した。男性では40歳代前半のBMIが24.0と最大で、腹囲は50歳代後半が最大となっていた。女性では40歳代前半からBMI、腹囲とも加齢とともに増大し、70歳代前半が最大だった。
BMI25以上の多い県は、男性では沖縄、北海道、徳島、宮城、青森の順で、女性は沖縄、青森、岩手、福島、秋田の順となっていた。男性の腹囲85㎝以上の多い県は沖縄、宮城、徳島、和歌山、香川の順で、女性の腹囲90㎝以上の多い県は沖縄、大分、宮崎、宮城、鹿児島の順だった。
日本の北部は皮下脂肪型肥満、南部は内臓脂肪型肥満が多い傾向になっていた。性・年齢・地域別の対策に、NDBの活用が役立つと考えられる」と発表された。
私たちが報告した「日本の各地域における肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧の頻度と生活習慣に関する検討(徳永他:肥満研究9:64-69,2003)」
表示の結果によく似ている。2000年4月の全国4万5743人を対象とした健診で、地方別の男性では四国、東北、関東の順で、女性では東北、四国、北海道の順で肥満の頻度が高く
表示、県別では男女とも沖縄県が最も肥満の頻度が高くなっていた。
各地域での肥満や糖尿病・脂質異常・高血圧・肝機能異常・腎障害の頻度と生活習慣がわかれば、その地域にあった対策がとれる。
フロアから「人は緯度が高くなるにつれて、体格が大きく、皮下脂肪が厚くなっていく。日本人類学会では、『東北の女性にBMIの高い地域が集中しているのは、東北の女性は他の地域への移動が少ないためだ』と考えられている」とコメントがあった。
また、フロアから「どうすれば、各地域のNDBを知ることができるか」との質問もあった。津下氏は「厚生労働省のホームページから入るといい。郵便番号で地域を調べると、性別、5歳刻みの年齢別のBMIと腹囲が出てくる。それを自治体の人口構成で補正するといい」と答えられた。
特定健診ナショナルデータベース(NDB)に入っている2245万人のBMIや腹囲は、誰でも使うことができる。各県、各市町村は、その地域にあった特定健診保健指導を行うため、NDBを活用するとよいだろう。