キューバ危機と世界の肥満・糖尿病激増
2013年12月3日、サンケイ新聞朝刊に「果糖取り過ぎ要注意」「脂肪肝など生活習慣病にも」の見出しで5段記事が載っていた。
記事には「高果糖コーンシロップ(果糖・ブドウ糖液糖)は、トウモロコシのデンプンに含まれるブドウ糖を酵素によって果糖に変え、甘味を強めることができる。安価で大量生産できることから、1970年代、キューバ危機で砂糖不足になった米国を中心に需要が拡大した」と書いてある。
米国で肥満・糖尿病・メタボリックシンドロームが激増した要因に、キューバ危機が関係していたのか。キューバ危機といえば、ジョン・F・ケネディ大統領を想い出す。50年前の1963年11月22日、庄原中学校の講堂に全校生徒600人が集まっている中で、校長先生から"ケネディ大統領の暗殺"を知らされ、衝撃を受けたものだ。
キャロライン・ケネディ女史が駐日大使に就任することに対し、友人は1ヶ月前「アメリカが日米関係を重視していることを示し、日米友好にとっていいことだ。ケネディ大使には、凄腕のフローマンがついている。TPP交渉は厳しいものになるだろう」と言っていた。
アメリカは肥満危機に陥っている。何故、アメリカに肥満が急速に増えたのか?浜松医大の大関武彦教授が、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のLustig教授に行ったインタビュー「世界のリーダーたちに聞く:アディポサイエンスの潮流」(松澤佑次
表示監修:フジメディカル出版2012.7800円)が興味深い。Lustig教授は小児肥満の世界的権威で、ブレイ
表示USC教授の肥満に関する論文に感銘し、肥満研究を始められている。
Lustig教授は、「世界中に肥満が蔓延したのは、フルクトース(果糖)をはじめとする糖依存症によるものだ。果糖は西洋食の主要成分で、安上がりだ。繊維の多い果物と異なり、低価格でしかも消費期限は長いので価値が下がることはない。西洋食を一言で言えば『果糖が豊富で食物繊維の少ない食事』だ。
肥満クリニックには、清涼飲料やジュースを断ち切れない子どもたちがやってくる。親がこれらの飲料を取り除くと禁断症状が現れ、子どもたちは学校帰りのコンビニなどで甘いものを探す。これらはすべて糖依存症の徴候だ」と答えられている。
2003年WHOは、1日当たりの砂糖(果糖・ブドウ糖液を含む)の摂取量を総摂取エネルギーの10%以上にならないよう推奨している。米国の1日砂糖摂取量は346kcalで、果糖・ブドウ糖液の摂取量271kcalを加えると617kcalになる。日本の砂糖摂取量は1日201kcalで、果糖・ブドウ糖液の摂取量80kcalを加えると281kcalとなる。
この30年で、世界の肥満・糖尿病は爆発的に増えた。世界的に変化したのは高果糖・低繊維のファーストフードが広まったことだ。個人の過食・運動不足より、果糖依存の流行こそが問題なのかもしれない。