山王美術館・藤田嗣治展と都心のオアシス
2013年12月14日、大阪国際交流センターで「第202回日本内科学会近畿地方会(上野聡会長)が開催された。
午後0時、評議員会があった。会長の上野聡奈良医大神経内科教授は、阪大2内の3年後輩で、阪大病院時代は8階の隣りの神経研究室だった。第207回日本内科学会近畿地方会の会長は、兵庫医大の佐野統(はじめ)リウマチ膠原病内科教授に決まった。
午後1時40分、学会場に近いJR難波駅に隣接する「ホテルモントレ グラスミア大阪」に行った。ホテル22階の山王美術館には、ルノワールの「裸婦」など教科書に出てくるような名画がある。
22階にあるティーラウンジでコーヒーを飲みながら、窓の外を見た。大阪の高層ビル街が広がり、遠くに北摂の山々が眺められる。眼下には阪神高速道と四ツ橋筋、右手には日航ホテル・道頓堀の観覧車が、左手には遠くリッツカールトンホテルが見える。青い空に、上が白く下がグレイの雲が、西から東に流れていく。ぼんやりと雲を眺めていたら、30分が経っていた。
レジで美術館の半額優待券をもらい美術館に向かった。館内はもの静かで、落ち着いて美術鑑賞ができる。洋画展示室では「藤田嗣治(つぐはる)展」をしていた。藤田嗣治は1920年代、ピカソ(スペイン)・シャガール(ロシア)・モディリアーニ(イタリア)・ルオー(フランス)とともにパリで活躍した画家で、高い評価を受け人気を博した。
展示室の右手には水彩画の初期の作品が並べられていた。モディリアーニのような細長い顔にデフォルメされている。ルオーやピカソと交流するうち感化され、日本で学んだ絵画を全て捨て去り、絵画「パリのカフェ」からは新しい画風になっている。
正面には、藤田嗣治の代表的な乳白色の絵画「ヴィーナス」「自画像」など並んでいた。乳白色の地塗りを施したキャンパスに、面相筆と墨を用いた独自の手法で描かれている。全部で26作品あった。
日本画展示室には、横山大観5作品・河合玉堂4作品、橋本関雪3作品など近代日本画が展示されていた。陶磁器展示室には河井寛次郎の壺が15作品展示してあり、窓から生駒の山並みが見えた。
東京赤坂にある山王病院はジャニーズプロの近くにあり、政治家や芸能人がよく行く病院だ。受付の人に、「山王美術館は、東京にある山王病院と関係があるのか」聞くと、「山王病院とは関係なく、モントレはスペイン語で"山の王"という意味なので、山王美術館と名付けられた」と答えられた。
山王美術館は大阪の中心地・難波にありながら、とても静かでオアシスのような所だった。多忙で疲れたり、ストレスがたまった時には、流れる雲を追いかけ、美術を鑑賞し、ゆったりとした時を過ごすとよい。