宮古島食育フォーラムと肥満・野菜摂取量

2014年2月15日

   201428日、沖縄県宮古島市にあるホテルアトールエメラルド宮古島で「食育フォーラム」が開催された。

 

午後2時、基調講演「内臓脂肪型肥満を防ぐ食生活ー今すぐできること 表示」をした。

「沖縄県は野菜の摂取量が少なく、男性は266g(全国301g)で45位、女性は249g(全国285g)で44位となっている(厚労省2010年)。

今すぐできることとして、1.お腹いっぱい食べない。2.揚げ物・炒め物を少なくする。チャンプルーは野菜の種類と量を増やす。3.野菜・海藻類などカロリーの低いものから先に食べる。4.魚料理を週半分は食べる。5.大皿でなく、小皿に分ける。6.アルコールは飲みすぎないようにする。7.アイスクリームやお菓子など間食を減らす。8.甘い飲料水を減らす。9.夕食後、寝るまで食べない。10.毎日、体重を測定する。週1回、腹囲を測るとよい」と話した。

「宮古島の人には、この10項目が全て当てはまる」とコメントがあった。

 

午後3時、パネルディスカッション「取り戻そう健康寿命 正しい食生活でうぷばた(大きいお腹)解消! 表示」があった。

宮古島市健康増進課の仲宗根美佐子氏は、「宮古島市の肥満・糖尿病・高血圧は沖縄本島と比較しても多い。小・中学生と父兄の調査で、カルシウム・鉄・食物繊維が不足し、塩分・脂質の過剰があった。塩分・脂質を抑える食育を実施し、島野菜を使ったメニューを考案し普及させている」と述べられた。

宮古栄養士会の細田実氏は、「脂肪摂取過多・野菜不足で肥満が増えている。夏休み小学生料理教室を開き、地元産の旬の野菜・果物を極力使用し地産地消に努めている」と述べられた。

座長をされた沖縄野菜プロジェクトの岡田郁子氏は、「宮古島にはいい野菜や食用になる草がたくさんあり、これらを利用するとよい」とまとめられた。

 

午後6時、宮古島中心街の西里大通り、下里大通りを散策した。居酒屋に入り、泡盛古酒「多良川」の水割りを飲みながら、郷土料理を堪能した。

宮古島の人たちが、子どもの頃から最も慣れ親しんできたという郷土料理「ポーク玉子」を注文した。ポーク玉子は、薄焼き玉子の上に、ポークランチョンミート(スパム)を載せたものだった。なかなか美味しいが、野菜がない。

 

近くのコンビニで"ポーク玉子おにぎり"を見ると436カロリーと、明太子おにぎり202カロリーの2倍になっていた。戦前、宮古島では沖縄古来の野菜を食べる食習慣があったという。戦後、ベーコンやスパムといった欧米食がいち早く入り、肥満が増加したのかもしれない。

 

宮古島の肥満・糖尿病・高血圧は、脂肪摂取過多・塩分摂取過多・野菜不足という食生活が大きな要因となっている。メディア・行政・地域が一体となって、生活習慣病対策に取り組むとよい。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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