STAP細胞・C型肝炎治療薬と認知症・健康寿命

2014年2月 4日

    201413121日、東京千代田区紀尾井町にあるホテルニューオータニで「第42回日本総合健診医学会(天野隆弘会長)」が開催され、1250名が出席した。

130日、ホテルニューオータニ571号室に宿泊した。夜のニュースは、どのテレビ局も「STAP細胞」を発見した小保方(おぼかた)晴子さんの記者会見や、理化学研究所の研究室の模様を放送していた。STAP細胞はiPS細胞より作製しやすい万能細胞で、胎盤・胎児もでき、再生医療や創薬に役立つという。

小保方さんは30歳と若く爽やかだ。研究者として独創的なアイデアが浮かんでくるのは、卒後5年から10年までが多い。私が「CTスキャンによる脂肪組織測定 表示」を始めたのは30歳、「最も疾病の少ないBMIから理想体重を求めること 表示」を着想したのは33歳、「成功率の高い視床下部破壊肥満ラット作製法 表示」を考えついたのは34歳の時だった。

 

131日午後1230分、島根大学第3内科の山口修平教授によるランチョンセミナー「最近の認知症の動向と治療戦略」があった。

山口教授は「認知症は462万人、予備軍は400万人あり、85歳以上の27.3%が認知症となっている。認知症を介護しているのは妻20%・夫10%・娘25%・息子12%・息子の嫁23%で、認知症を防ぐには音楽・芝居・囲碁・俳句など昔から好んでいるものをするとよい。認知症の人に対し、叱る・怒る・なじる・馬鹿にするのはよくない」と話された。

 

午後140分、東海大学東京病院の西崎泰弘副院長による教育講演「ウイルス性肝障害の診断と治療に関する最新知識」があった。

西崎副院長は「B型肝炎の多くは母子感染による。1984年より行われた新生児へのγグロブリン投与により、20歳以下のB型肝炎はほぼゼロになった。C型肝炎の治療も、これまでインターフェロンだけだったが、C型肝炎ウイルスに直接効くプロテアーゼ阻害薬・ポリメラーゼ阻害薬・NS5A阻害薬ができ、90%の治癒率になっている」と話された。

肝癌のほとんどは肝炎ウイルスによるものだったので、肝癌は激減しそうだ。脂肪肝・NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)から肝硬変・肝癌になるケースが増えてきており、肝癌に対して肥満対策がより重要になるだろう。

 

午後7時、ガーデンタワーで懇親会があった。阪大2内の5年先輩に誘われ、日野原重明日本総合健診医学会理事長の所に行った。日野原先生とツーショット写真 表示を撮り、升に「百二才 日野原重明 表示」のサインをしてもらった。

STAP細胞発見による再生医療の進展や、新しいC型肝炎治療薬などの開発で、日本人の寿命はますます延びそうだ。健康寿命を延ばすためには、認知症や肥満・脳卒中・骨折などの治療や予防が必要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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