STAP細胞・C型肝炎治療薬と認知症・健康寿命
2014年1月31~2月1日、東京千代田区紀尾井町にあるホテルニューオータニで「第42回日本総合健診医学会(天野隆弘会長)」が開催され、1250名が出席した。
1月30日、ホテルニューオータニ571号室に宿泊した。夜のニュースは、どのテレビ局も「STAP細胞」を発見した小保方(おぼかた)晴子さんの記者会見や、理化学研究所の研究室の模様を放送していた。STAP細胞はiPS細胞より作製しやすい万能細胞で、胎盤・胎児もでき、再生医療や創薬に役立つという。
小保方さんは30歳と若く爽やかだ。研究者として独創的なアイデアが浮かんでくるのは、卒後5年から10年までが多い。私が「CTスキャンによる脂肪組織測定
表示」を始めたのは30歳、「最も疾病の少ないBMIから理想体重を求めること
表示」を着想したのは33歳、「成功率の高い視床下部破壊肥満ラット作製法
表示」を考えついたのは34歳の時だった。
1月31日午後12時30分、島根大学第3内科の山口修平教授によるランチョンセミナー「最近の認知症の動向と治療戦略」があった。
山口教授は「認知症は462万人、予備軍は400万人あり、85歳以上の27.3%が認知症となっている。認知症を介護しているのは妻20%・夫10%・娘25%・息子12%・息子の嫁23%で、認知症を防ぐには音楽・芝居・囲碁・俳句など昔から好んでいるものをするとよい。認知症の人に対し、叱る・怒る・なじる・馬鹿にするのはよくない」と話された。
午後1時40分、東海大学東京病院の西崎泰弘副院長による教育講演「ウイルス性肝障害の診断と治療に関する最新知識」があった。
西崎副院長は「B型肝炎の多くは母子感染による。1984年より行われた新生児へのγグロブリン投与により、20歳以下のB型肝炎はほぼゼロになった。C型肝炎の治療も、これまでインターフェロンだけだったが、C型肝炎ウイルスに直接効くプロテアーゼ阻害薬・ポリメラーゼ阻害薬・NS5A阻害薬ができ、90%の治癒率になっている」と話された。
肝癌のほとんどは肝炎ウイルスによるものだったので、肝癌は激減しそうだ。脂肪肝・NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)から肝硬変・肝癌になるケースが増えてきており、肝癌に対して肥満対策がより重要になるだろう。
午後7時、ガーデンタワーで懇親会があった。阪大2内の5年先輩に誘われ、日野原重明日本総合健診医学会理事長の所に行った。日野原先生とツーショット写真
表示を撮り、升に「百二才 日野原重明
表示」のサインをしてもらった。
STAP細胞発見による再生医療の進展や、新しいC型肝炎治療薬などの開発で、日本人の寿命はますます延びそうだ。健康寿命を延ばすためには、認知症や肥満・脳卒中・骨折などの治療や予防が必要だ。