梅田スカイビルと心臓脂肪
2014年3月8日、大阪市北区にある梅田スカイビルタワーウエストで「第19回中之島循環器・代謝フォーラム」が開催された。
梅田スカイビルに行くと、外国人観光客が増えていた。梅田スカイビルが、「世界を代表する20の建造物(パルテノン神殿・アンコールワット・タージマハル・サクラダファミリアなど)」に入ったためだろう。梅田スカイビルは、原広司の設計で1993年に完成している。40階の超高層ビル2棟が、円形の空中庭園で結ばれており、最初にできた3次元的な都市だ。
原広司は、京都駅ビルも設計している。1997年に京都駅ビルができた時、友人は「梅田スカイビルに次いで、2番目にできた立体的な街だ。新宿もニューヨークも平面に高層ビルが建っているだけで立体都市ではない」と言って、伊勢丹デパート、空中回廊から京都グランヴィアホテルのスイートルームまで案内してくれた。
午後5時15分、徳島大学心臓血管病態医学の島袋充生特任教授による特別講演「異所性脂肪と心臓脂肪:最近の話題」があった。島袋教授は琉球大学講師から、2011年に徳島大学教授になられている。
島袋教授は「膵臓・筋肉・肝臓などの異所性脂肪や、心臓の周囲にある心臓脂肪の過剰蓄積は動脈硬化性心疾患のリスクとなる。心臓脂肪は炎症物質を分泌し、直接、冠動脈に炎症をもたらし、心筋梗塞を起こす可能性がある。心臓脂肪は、CTスキャンやMRIなどで測定できる」と話された。
私は「特定健診2245万人のデータで、BMI25以上の男性肥満は沖縄が1位、徳島が3位となっている。国民健康・栄養調査での歩数は、沖縄18位、徳島29位と中くらいなので、食品が影響しているのではないか」と質問した。
島袋教授は「肥満の原因となっている食品は、地域によって異なっている。沖縄では油っこいもの、徳島では炭水化物の摂り過ぎが原因ではないかと考えている」と答えられた。
琉球新報2014年3月2日の特集記事「食改善し元気に長生き
表示」では、沖縄の肥満は脂肪摂取過多、野菜摂取不足が原因とされている。徳島は間食など甘いものの摂り過ぎで、徳島県の野菜摂取量は全国最下位となっている。
午後7時30分から懇親会があり、島袋教授や脂質代謝研究者らと話をした。心臓脂肪など異所性脂肪は動脈硬化に影響はあるが、VFA(内臓脂肪面積)ほど大きなリスクではないという。心臓脂肪の測定は、体積を求まなければならず、健診など一般的に使うには難しそうだ。
肥満の原因はそれぞれの地域、それぞれの人で異なっている。沖縄では脂肪の過剰摂取、徳島では炭水化物の過剰摂取が、肥満の大きな要因と考えられる。その地域、その人に合った肥満対策が必要だ。