認知脳科学とカリフォルニア工科大学
2014年4月17日、大阪市北区で異業種の会があった。
午後6時から、大阪大学生命機能研究科の藤田一郎教授による講演「脳は何を見ているのか~認知脳科学への誘い~」があった。
藤田教授は「ヒトの脳の3分の1の領域は、視覚認知に関係している。視覚は脳にコントロールされている。目に入ってくるものを電気信号に変換させ、神経線維を通って脳に情報を送っている。脳に記憶された神経信号から、逆に何を見ているのか形を再現することができる。
唇のような真ん中が濃く上と下が薄い形に反応するコラム(大脳皮質に存在する柱状のもの)、T字やY字のような行き止まりのような形に反応するコラム、掌の形に反応するコラムなど、形を認識する200のコラムから成り立っている。50音の組み合わせで、全ての言葉ができ、言葉の組み合わせで小説ができるように、200のコラムの組み合わせで、全ての形を認識することができる。
最近、一つ一つのコラムの活動を観察することができるようになった。人の顔や風景を見せ、その時の脳の活動から顔や風景にぼんやり似た像を描き出すところまで進んでいる」と話された。
午後7時から懇親会があり、藤田教授と話をした。藤田教授は広島県出身で、米国カリフォルニア工科大学(通称カルテク)に留学されていた。カルテクはノーベル賞受賞者を多く輩出し、2014年の世界大学ランキングでは1位ハーバード、2位スタンフォード、3位エールに次いで4位となっている。
カルテクはロサンゼルス郊外のパサディナにあり、正月にはローズ・パレード
表示を観に行っていた。カルテク近くには、USC(南カルフォルニア大学)で同僚だった徳山薫平筑波大学運動栄養学教授(写真
表示右)が住んでいた。日本から阪大2内の垂井清一郎教授(日経新聞2014年4月15日夕刊
表示:左から2人目)がロスに来られた時は、パサディナにあるハンチントン図書館とカルテク周辺を案内した。
私が「ロスのUSCに留学し、ブレイ教授のもとでラットの脳の視床下部を破壊して、肥満の研究をしていた」と話すと、藤田教授は「USCに留学されていた九州大学の吉松博信先生には随分お世話になった。家にも何度か遊びに行った」と言われる。
吉松先生は私と同じブレイ門下生で、私の後にUSCに留学され、帰国後は一緒に日本肥満学会雑誌の編集委員をしていた。「吉松教授は九州大学から大分大学教授となられたが、数年前お亡くなりになった」と伝えると、驚いておられた。
認知脳科学は、今ブレークスルーしている。過去見た夢を再現することができるようになるかもしれない。網膜が無くなり視力を失った人が、脳で視ることができるようになる日も、そう遠くではなさそうだ。