大阪倶楽部と肥満・健康管理
2014年6月19日、大阪市中央区にある大阪倶楽部で異業種の会があった。
大阪倶楽部
表示は大正時代、安井武雄氏によって設計された南欧風の建築物で、大阪市指定文化財となっている。本格的な社交倶楽部で、囲碁部・将棋部・俳句部・詩吟部・美術部・書道部・写真部など21の同好会がある。
午後6時、「沖縄宮古島の肥満と食文化」の講演をした。「宮古島は低カロリー・低脂肪・高繊維な食事だったが、戦後、高カロリー・高脂肪・低繊維な食事になり肥満が増えた。欧米食で育った50歳代の動脈硬化性疾患による死亡が増加し、平均寿命も下がってきている」と話した。
主催者から、「人間ドック学会の新基準値、健康管理についても話して下さい」と言われたので、「人間ドック学会の基準値は、現在健康な人95%が入る値で決められており、将来どうなるかを考慮したものではない。自分の値が、全体のどの位置にいるか参考にするとよい。
肥満と各疾患との関係をみると、高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症はBMIが上がるにつれ連続的に増えている
表示(徳永他:Int J Obes 1991)。これ以下は正常、これ以上は病気という、はっきりした値はない。
標準体重のBMI22は日本で考えられたもの
表示(徳永他:Int J Obes1991)で、米国には標準体重といった概念はない。1993年の日本肥満学会の判定基準は、理想BMI22を基に+20%のBMI26.4を肥満としたが、2000年の基準はBMI25に変わった。
原著のサマリーには、"BMI22は30~59歳に推奨される
表示"と書いている。60歳以上の高齢者では、さらなる検討が必要だ。
認知症を防ぐには、この会のような異業種の会に積極的に参加して多くの人と接し、体や指先を動かすとよい」と述べた。
午後7時、洋食フルコースの会食があった。前菜はサーモンと帆立貝柱のトマト風味、メインは鰆のソテー2色ソースとマディラ酒ソースの牛フィレ肉ステーキだった。ナイフ、フォーク、どの皿も歴史が感じられるいいものが使ってある。
右隣りは、デザイナーの江村美代子ラピーヌ元会長だった。江村さんは大阪万博のユニフォームをデザインされた方で、普通の大阪の洋装店から会社を作られ、日本初の上場会社女性代表取締役となられている。
江村氏は「私も認知症を防ぐには、指先を動かすといいと思います。講演のスライドは秘書に作ってもらっていたが、今は自分でパワーポイントを使って作っている。自分で作った方が指も使い、洋服の色やデザインも自分でイメージしていたものができる」と言われた。
BMI25以上の世界の肥満は、1980年の8億5700万人から2013年21億人に増加し、男性36.9%、女性38.0%となっているいる(Lancet 2014)。
全世界で肥満が増加している中、肥満増加に歯止めがかかっているのは日本だけだ。癌の早期発見・早期治療、動脈硬化性疾患予防のため、健康診断や人間ドックを受け健康管理するとよい。