口腔保健・細菌とメタボリックシンドローム

2014年7月13日

    201477日七夕の日、ホテルグランヴィア大阪で「第54回大阪産業医学研究会」が開催され、100名が参加した。

午後6時、三井住友銀行大阪歯科診療所の倉田秀所長による特別講演Ⅰ「職域の歯科診療所に期待される役割と治療について」があった。

倉田先生は大阪大学歯学部出身で「早期発見・早期治療のため、職場では歯科検診を32歳、36歳、42歳、46歳の人を対象に行っている。マグネット式の義歯(入れ歯)は従来の義歯に比べ、固定する金属の留め具がないので見た目に違和感がない。前歯の色が気になる人は、ホワイトニングや前面のみのポーセレンをするとよい」と話された。

 

午後7時、日本IBM健保組合予防歯科の加藤元先生による特別講演Ⅱ「職域における口腔保健の生かし方~全身の健康づくりの一環として」があった。

加藤先生は東京医科歯科大学出身で「歯の予防が必要だ。口腔内の細菌は700種類あり、歯垢1㎎中1億、清掃状態のよくない口の中には1兆いる。歯と歯肉の間の歯周ポケットに歯垢がたまると細菌が増え、嫌気性細菌の内毒素・酵素とその免疫機序により歯周組織が破壊され歯周病になる。歯周病になると情報伝達物質(TNF-α)が出て、糖尿病になる。

肥満にならないためには、よく噛むことだ。噛むと歯根膜と咀嚼筋から三叉神経感覚核を通り、視床下部の満腹中枢を刺激する。ゆっくり噛んで食べるとよい。歯の本数が減り咀嚼障害が起きると、野菜の摂取量が減り、炭水化物が多くなる。歯の数が少ない人ほど、メタボリックシンドロームになる率が高くなる」と話された。

 

フロアから「700種類ある口腔内細菌は、どれも悪いのか?いい働きをしている口腔内細菌はないのか?」と質問があった。加藤先生は「10数種類の細菌は、悪いことがわかっているが、いい細菌のことはまだわかっていない」と答えられた。

 

午後815分から懇親会があり、松澤佑次 表示住友病院長は「大阪大学には医学部と歯学部の両方がありながら、連携することは少なかった。これから両学部は交流を深め、共同研究するとよい」と挨拶された。

講師をされた倉田先生と話をした。倉田先生は広島県出身で、福山市で開業している私の従兄妹 表示と阪大歯学部でいっしょだった。私の父 表示と母も広島県庄原市で開業し、診療室の隣の技工室で、夜遅くまで義歯を作っていた。

肥満研究をしている大学の後輩に「肥満と腸内細菌は、どの程度関連があるのか」聞くと「腸内細菌には個人差があり、抗生物質で腸内細菌が変化しても、また元に戻る。腸内細菌と肥満の関係は、まだ始まったばかりだ」と言う。

 

歯は全身の病気と関連している。歯周病は、脳血管障害・心臓疾患・糖尿病・誤嚥性肺炎など引き起こす。メタボリックシンドロームを防ぐためには、口腔内を清潔にし、よく噛むことが重要だ。

徳永勝人 医師
(とくなが かつと)
医学博士


1968年
広島県立庄原格致高校卒業
1974年
大阪大学医学部卒業

内臓脂肪型肥満、
標準体重=身長X身長X22
を提唱する肥満の
第一人者として活動中。

1983年-1985年
南カリファルニア大学
研究員
大阪大学第2内科講師
市立伊丹病院内科部長
大阪大学臨床助教授
兵庫医大実習教授
を経て
高槻社会保険健康管理センター
センター長として勤務

日本肥満学会肥満症診断
基準検討委員会委員
日本糖尿病学会評議員
日本動脈硬化学会評議員

NHK「きょうの健康」での
講師を務める。
著書に
  「肥満Q&A
  「食事で防ぐ肥満症」
 
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メタボリックシンドローム

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