果糖入りソフトドリンクと高尿酸血症・肥満症予防
2014年7月26日、37℃の猛暑の中、ホテルグランヴィア大阪で「第10回高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム」が開催された。
午後2時20分、京都大学TMKプロジェクトの仲川孝彦特定准教授による一般演題「糖尿病性腎症における尿酸・フルクトースの役割」があった。
仲川准教授は「糖尿病マウスでは、フルクトース(果糖)の産生亢進が尿酸産生を促進させ、腎尿細管障害を引き起こしていた。フルクトース代謝を抑制することは、糖尿病性腎症の治療となりうる」と発表された。
フロアから私は「1973年から2013年までの男性延べ54万人の調査では、高尿酸血症が最近増加している。砂糖の消費量は減少しているが、果糖コーンシロップの消費量がそれ以上に増えている。高尿酸血症の増加に、果糖の影響は考えられないか」と質問した。
仲川氏は「先生のおっしゃる通り、高尿酸血症が増加した原因は、果糖・ブドウ糖液の過剰摂取によるものだと思う。高尿酸血症を来たす食品で、最近急速に増加したものは果糖以外にはない」と答えられた。
米国で肥満が急増した大きな要因として、果糖コーンシロップ入りソフトドリンクの過剰摂取が挙げられている。日本の清涼飲料の多くは、高価な砂糖入りから安価な果糖入りソフトドリンクに変わってきている。
午後3時25分、大阪大学内分泌代謝内科の福田士郎、西沢均、木村武量らによる一般演題「内臓脂肪蓄積型糖尿病患者における動脈硬化と食行動」があった。
福田氏は「内臓脂肪蓄積のある2型糖尿病患者は、中性脂肪と尿酸が高く、HDLコレステロールが低く、全身血管エコーで複数の動脈硬化性病変を持つ人が多く、食行動の違いが認められた」と発表された。
フロアから私は「食品で具体的に違いが出たのは何か。1998年に行った厚労省(松澤班)の調査では、内臓脂肪蓄積者は、甘いソフトドリンクをよく飲む、甘い菓子をよく食べる、アイスクリームが好き、魚より肉を好む、野菜が嫌いの項目で有意差が出た」と質問すると、福田氏は「先生が言われたものとほぼ同じで、スナック菓子、ソフトドリンク、肉食などで有意差が出た」と答えられた。
優秀演題として、仲川氏と福田氏の2題が選出され表彰された。
午後5時50分から懇親会があり、尼崎市役所市民協働局の野口緑課長と話をした。野口氏は、日本肥満学会の理事をされている。野口氏は「肥満症ガイドラインは、肥満症の治療が中心になっている。予防も大事で、どういう食生活をしたらよいのか、肥満症の予防にも力を入れていきたい」と言われた。
果糖入りソフトドリンクの過剰摂取は、内臓脂肪型肥満・高尿酸血症・糖尿病性腎症を引き起こす。高尿酸血症・肥満症の予防は、果糖入り飲料を過剰摂取せず、何でもバランスよく適量食べるとよい。