お盆帰省と庄原・秘境温泉宿の食
2014年8月14~17日、広島県庄原市へお盆帰省した。
8月14日午前7時、伊丹の自宅を出発、中国縦貫道は大渋滞となっていた。庄原インターを降り、川北、濁川、鮎の里から西城川に沿って細い道を下り、高茂温泉「鵜の子荘」に行った。高茂温泉は大正時代、山深い秘境に開発されたラジウム泉で、5軒あった温泉宿は1軒だけになっている。
鵜の子荘は西城川と緑につつまれた河畔の宿で、神経痛・筋肉痛・関節痛などに効用があるという飲泉が、24時間流れつづけていた。宿の庭には、岩煙草の紫色の花が咲き、橙色をしたキツネノカミソリが山の斜面の上まで咲いていた。ミーンミンと蝉の鳴き声が聞こえてくる。
午後0時から会席料理を食べた。前菜
表示は7種で、鱧の酢の物、沢蟹のから揚げ、プチトマトの天ぷら、アスパラガスの天ぷら、骨まで食べられる懐かしいギギュウの串刺しがあった。プリンに見えたのはトウモロコシの茶碗蒸しで、スイカを切った形をしたものは、身は明太子・種はゴマでできていた。太いアスパラガスは、朝一番に"夢桜"の朝市で買ってきたという。大阪で修行していたというだけあって、料理が凝っている。
鯉のあらいが、新鮮で美味しい。鮎の塩焼きは、目の前を流れる西城川の清流で採れたものだという。鯉こくを食べるのは久しぶりだ。味噌汁に輪切りにした鯉をいれたもので、私の大好物だった。学生時代に帰省すると、祖母はいつも鯉こくを作ってくれていた。
比婆牛のステーキが出た。比婆牛は170年の歴史を持ち、強健温和で姿形が美しく、大正天皇が崩御された時は、車を引く奉引牛に選ばれている。昭和63年には、畜産業界最高の栄誉である天皇賞を受賞し、日本一の和牛となっている。庄原市内で生まれ、庄原市で最長期間肥育された和牛が「比婆牛」と認証される。
午後3時、私の実家にお寺さんが来られた。お経をあげてもらった後、住職とNHK"総合診療医ドクターG"などの話をした。症例で出た"甲状腺機能低下症"は、中年の肥満女性によくある病気だ。過疎地の庄原市には産科がなく、庄原市内で生まれる子はいなくなった。
住職は「若者の仕事はなく、お年寄りが亡くなると、配偶者は都会の息子・娘の所に行き、空き家が増え、見捨てられた墓が増えている。高齢者が減ると、老人施設の仕事が減り、益々、若者の仕事がなくなる。庄原市も人口が減り、23あったお寺も16に減少した」と言われる。
8月15日午前8時30分、夢桜の朝市でアスパラガスとトウモロコシを買った。夢桜では比婆牛を売っており、サーロインは100g1380円、フィレは100g1650円していた。
父・祖父母の墓参り 表示をした。26年後、日本の市町村の半分が消滅するという。これから誰が墓を守っていくのか。子供、老人、学校、農協、郵便局、商店、お寺、・・過疎の大波は、全てを飲み込んでいく。